堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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足立区・民間委託の戸籍事務の一部直営化へ

区民の声・国会質問・区職労の要請等

連動した運動が国と区当局を動かす力に

(9月2日付)

 東京都足立区は、今年1月から戸籍事務を民間業者に全面委託をしていましたが、8月19日、戸籍届出窓口の受付など、民間に委託をしていた窓口業務の一部を直営に戻すことを明らかにしました。

 窓口業務の民間委託に反対する区民と足立区職労の共同した運動、自治労連と東京自治労連の国(法務省厚生労働省)への要請や日本共産党国会議員団と連携した参議院法務委員会での国会質問などの取り組みが、国と区当局を動かして実現したものです。

 足立区は、今年3月17日に東京法務局より「戸籍事務で区が判断すべき業務を民間業者が行っているのは、委託のできる範囲を超えている」との指摘を受け、マニュアル(「判断基準書」「業務手順書」)に書いていない事項は民間業者がそのつど区職員に疑義を照会する「エスカレーション」という行為を行うことで対応していました。しかし、今度は7月15日に東京労働局から、「エスカレーションと称する疑義照会を行うことを契約書で定めるのは偽装請負に当たる」として是正の指導を受け、8月20日までに回答が求められていました。

 足立区が8月19日に明らかにした報告資料によると、東京労働局から指摘のあった「違反事項の対応策」として、(1)「判断基準書」「業務手順書」等で定められていない事項の疑義照会については契約書(仕様書)の業務内容から削除する、(2)受託事業者の委託範囲を一部外し、区が受付することで、疑義照会が発生しない委託内容に変更するとしています。

 委託から直営に戻す業務は、(1)証明窓口(住民票写し、戸籍謄抄本、受理証明書等)の委任状・第三者請求等の受付、(2)住民異動窓口(転入、転居、転出等)の受付、入力、(3)戸籍届出窓口(婚姻・出生・死亡等)の受付、疑義の発生する届出(外国人関係等の届出)の一次入力、受理案内、審査終了後修正の発生したものの処理業務としています。しかし、(1)証明窓口の受付、入力・証明書出力、照合、交付(引渡し)、(2)住民異動窓口の国保・就学等処理、交付(引渡し)、(3)戸籍届出窓口の「疑義の発生しない」届出の入力、身分事項移記等の二次入力、附帯業務(通知作成・送付・人口動態等)は民間に委託するとしており、今後も戸籍法違反や偽装請負などの問題が発生するおそれがあります。

 自治労連は引き続き、戸籍事務をはじめとした窓口業務の民間委託を許さず、直営での公務公共サービスの充実に向けて、住民と共同して取り組みを進めることにしています。

 現在堺市では、西区市民課窓口業務委託のモデル実施について、事業者の公募が行われています。足立区の事例については堺市でも懸念されており、執行部は引き続き、当局に説明責任を果たすよう求めていきます。