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安倍内閣が窓口業務委託法案を閣議決定

戸籍、地方税国民健康保険、障害者福祉、母子保健も対象?

(3月23日付)

安倍内閣が3月10日、自治体の窓口業務を地方独立行政法人に委託することを可能とする法案を閣議決定し、今通常国会で成立を図ろうとしていることに対し、自治労連は断固反対し廃案を求める書記長談話を発表しました。談話の要旨は以下の通りです。

 安倍内閣は「骨太方針2015」で「公的サービスの産業化」を打ち出し、「市町村で取組が遅れている分野や窓口業務などの専門性は高いが定型的な業務の適正な民間委託の取組の加速をはじめ、公共サービスの広域化、共助社会づくりなど幅広い取組を自ら進める。その際、窓口業務のアウトソーシングなど汎用性のある先進的な改革に取り組む市町村数を平成32年度までに倍増させる」としている。

 地独法改悪法案では、地方独立行政法人が行うことのできる業務を列挙した21条(業務の範囲)に、窓口関連業務等で「定型的なもの」を加えるとともに、具体的な事務は別表により総務省令によって定めることとしている。別表では、戸籍、住民基本台帳マイナンバー、地方税国民健康保険、高齢者医療、国民年金介護保険、障害者福祉、母子保健、児童手当をはじめとした広範な窓口業務を対象にしている。具体的にどの事務の委託を認めるのかは総務省令で定めることとなっており、総務省の裁量で無限定に拡大されるおそれがある。

 窓口業務を地方独立行政法人に委託する問題点は、第一に、窓口業務を地方自治体の業務から切り離すことにより、住民の基本的人権を守る自治体の機能が損なわれることである。窓口業務は、住民相談、申請の受付、申請に対する処理、申請者への各種証明書等の引き渡しまで、一連の業務が一体不可分である。申請の受付の事務を「定型的な業務」として地方独立行政法人に委託すれば、自治体職員は申請に訪れた住民の状況を直接に把握することができず、関連する行政部門との連携にも支障が生じる。また、これまで自治体職員が一体となって進めてきた業務が非効率になるとともに、偽装請負など違法行為が発生するリスクが高まる。

 第二に、住民の個人情報の管理や、不正な請求などに対して、適正な対応ができなくなるおそれがあることである。窓口業務には、住民の個人情報を適正に保護、管理することが求められる。戸籍や住民票などの窓口では、本人になりすました不正な請求が行われる場合が少なくない。窓口業務を担う職員には高い専門性が必要であり、業務に必要な専門性は経験を積み重ねることで培われる。

 一方、地方独立行政法人は、原則として企業会計原則によることとされ、経費削減などのリストラを推進することが求められており、短期間のうちに地方独立行政法人の職員が次々と入れ替わることになれば、住民の個人情報の管理にも支障が生じる。

 第三に、複数の市町村の窓口業務を一括して地方独立行政法人に委託できるようにすることで、地方自治体の業務の集約、統廃合を加速させることである。 自治労連はこれまで、窓口業務は直営で正規職員が担うようにすることを求めてたたかってきた。足立区の戸籍事務の民間委託に対しては、住民、国会議員とも共同してたたかい、戸籍事務の民間委託に歯止めをかける法務省通知を発出させてきた。自治労連は、窓口業務の外部委託を促進して行政サービスの破壊と地方自治体の空洞化をもたらす地独法の改悪を許さず、憲法をいかし、住民生活を守る地方自治体をつくるために、住民との共同を広げてたたかうものである。