堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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市役所を「モノ言えぬ職場」にする思想調査

大阪維新の会堺市議団が要求

(4月15日付)

 大阪維新の会は、4月9日の政治活動制限条例の再議にかかる総務財政委員会において、市当局に公務員の政治活動について「アンケート」を行うよう求めました。その違憲性を改めて検証します。

大阪市での思想調査

 橋下大阪市長は、2012年2月9日、大阪市職員に対し、「思想調査」アンケートを実施。組合活動への参加の有無や、特定の政治家を応援する活動経験の有無、さらには誰に加入を誘われたか、投票を呼び掛けた人は誰かなどを問うという、憲法に保障された「団結権」や「思想信条の自由」を踏みにじるものでした。

 文書は橋下氏の署名入りで、「任意の調査ではなく、市長の業務命令」「正確な回答がなされない場合には処分の対象となり得る」などと脅して、職員に回答を要求。

府労委 不当労働行為

 思想調査に対しては、大阪弁護士会や日本弁護士会憲法違反と批判するなど、アンケート調査中止を求める声が全国へ広がりました。

 また、組合の救済申立を受け、大阪府労働委員会が調査中断を大阪市に勧告するもと、4月6日に調査依頼を受けた野村弁護士が回収したデータと用紙を廃棄。さらに1年後の昨年3月25日、大阪府労働委員会(府労委)が「市による組合に対する支配介入に当たる」と不当労働行為と断じています。

 しかし橋下氏は「問題はない」と強弁。謝罪も拒否し続けています。

 こうしたもと、大阪市職員は萎縮。市役所は市民よりも市長の顔色をうかがうことを強要される「モノ言えぬ職場」となりました。

 私たちの仲間である大阪市役所労働組合は、思想調査実施直後に府労委に救済を申し立てると同時に、現在59人が原告となり橋下市長への謝罪と損害賠償を求める「思想調査」裁判をたたかっています。

 原告の一人は「就職当時に先輩から『市民の半歩前に出て仕事しろ』と言われ、その先輩に近づくために頑張ってきました。市長直筆の業務命令に悩み、家族にも相談。妻は『住宅ローンはどうなるの』と心配しましたが、最後は応援してくれました。口数の少なくなった同僚たちも『ほんとは答えたくなかった、でも処分が怖い』と言い、私の心に火をつけました。一日も早く落ち着いて仕事ができる市役所にしたい。それが私の気持ちです」と語っています。

堺持ち込みを要求 

 4月9日の堺市議会総務財政委員会において、条例の目的と手段を基礎づける社会的事実である「立法事実」がないことを証明するため、大阪維新の会堺市議団が求めた「思想調査」は、公務員の政治活動の自由が憲法上で保障された重要な権利であること、大阪市での経過を理解しない違憲な要求であり、異常な人権感覚を示すものです。さらに、権利義務を規制する条例の提案者として、自らが立法事実を示す責任があることを全く踏まえない不当な要求です。

 いま必要なことは、大阪府大阪市と同様に、職員を萎縮させる政治活動制限条例を強要することではなく、市民サービス向上のため、自由に意見を述べられる職場を構築することです。