派遣労働 無期限に
無制限に派遣労働利用可能
(2月20日)
わたしたち、働くものすべてに、負の影響をもたらす危険がある、労働者派遣法の改悪が今国会で狙われています。一体、どういう中身で、私たちにどのような影響をもたらすのでしょうか。
例外としての派遣労働
そもそも労働者供給事業(「人貸し」業)は、戦前に横行した強制労働やピンはね(中間搾取)を招くとして、職業安定法第44条で禁止されています。労働者派遣制度は、その例外として、1985年に、臨時的・一時的業務に限定して認められたものです。
常用雇用の代替防止
現行の労働者派遣法は、派遣期間制限のない業務を通訳や秘書など「専門26業務」に限定して、その他のあらゆる仕事については原則1年、最長3年までに派遣期間を制限しています。事業主に直接雇用される正社員などと異なり、「間接雇用」の派遣労働は雇用が非常に不安定で、処遇や権利が十分に守られない恐れがあることから、常用雇用である正社員の置き換えを防ぐために設けられた規制です。
ずっと派遣労働可能に
今回の改悪案では、どんな仕事も1人の派遣労働者が同じ職場で働ける期間を最大3年としたうえで、派遣先の過半数労働組合の意見を聞くことを条件に、派遣労働者を入れ替えながら派遣の受け入れが可能になります。また、人材派遣会社に期限なしに雇われる労働者なら、ずっと受け入れることができます。
仮に過半数労働組合が反対しても、「臨時的・一時的」「常用雇用の代替防止」という派遣労働の原則の担保にはならず、派遣労働が事実上、無制限に利用可能になります。例外として認められた派遣労働があたり前の働き方になり、派遣の固定化が進んだり正社員から派遣への置き換えが進む恐れがあります。
さらなる雇用の劣化に
現状でも、正社員との賃金格差は1・5~2・5倍になり、派遣労働者平均年収は300万円未満の人が8割近く、200万未満の人も約4割に上ります。
また、「派遣は雇用の調整弁」という実態が、リーマンショックや東日本大震災で明らかになりました。
派遣労働が事実上自由化されれば、あらゆる職種や業務について、正社員より安価で、企業にとって使い勝手のよい派遣労働に、ずっと仕事を任せることができるようになり、正社員が派遣労働に入れ替わることや労働者全体の条件を押し下げる圧力として働くことが容易に想像できます。
今回の改悪案には、日本生産技能労務協会と日本人材派遣協会が昨年7月に厚労相に提出した要望書の内容が盛り込まれており、業界の要望そのものです。
全労働者の問題として危険性をつかみ連帯して労働組合の社会的役割を発揮しましょう。