「言うに止まらず実践し力にしよう」
(3月12日付)
堺労連の春闘行動の一環で、2月21日に、中小企業の経営者を招いて、地域で果たす中小企業や労働組合の役割について講演を受けました。
地域づくりは同じ立場
講師の杉原さんは、シンクタンクやコンサルタントを業務とする、㈱地域計画建築研究所(アルパック)(67年創立、正社員55名、パートなど10数名)の代表取締役会長を務め、会員経営者が個人で加入する、大阪府中小企業家同友会の副代表理事も担っておられます。
労働組合の学習会の講師が企業経営者というのは、何とも違和感を感じずにはおれないかと思いますが、杉原さんは、若い頃に組合役員の経験もあり、そうしたことも包み込みながら、なお立場に違いがある現実も認めたうえで、構えずに、地域づくりについての話を展開されました。
地獄絵・極楽絵の提示
中小企業家同友会が、「よい会社」「よい経営者」「よい経営環境」という三つの目的で活動していることに触れ、高校生のキャリア支援活動が紹介されました。
大阪市内のある高校では、約6割がアルバイトせざるを得ず、約半数が卒業できない現状で、何のために学び、働くのかということを、一緒に考える場を提供しているそうです。
そして、杉原さんは、こうした学生をとりまく状況や商店街の疲弊、工場の廃業、買物難民、生活保護の増大といった、地域が直面している現実をリアルに明らかにし、その背景を分析することの必要性に言及。「放っておいて、自分たちの生活や世の中が良くなるなら、労働組合は要りません」とし、事例として、商店街や中小企業への労働組合としての訪問調査にまず取りかかることの意義を、実感を込めて強調されました。
中小企業と地域づくり
さらに、全事業所の99%、労働者の8割を占め、地域を離れられない存在でもある中小企業が地域づくりに果たす役割について言及。
雇用や地産・地消、納税といった個別企業による「点の地域づくり」、さらに、企業間連携、産学連携、地域行事の取組といった「線の地域づくり」、そして、地域まるごとの観点からの、まちなかバルや地元自治体と連携した産業振興会議(仮称)といった「面の地域づくり」が具体的に紹介されました。
他にも、「施策にとどまらず、中小企業振興条例で理念と指針を定める意義」や「地域の自然、歴史、経済、文化的特性を踏まえ、それにふさわしい自主的で創造的な取組が地域づくりには求められること」などに触れられ、中小企業との接点をつくってみることや杉原さんの実践を労働組合活動にも活用することなど、今後のイメージを膨らませる学習会になりました。