堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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当局提案の「給与カット」~ここが問題、ここが矛盾

怒りと要求積み上げてはね返そう

(10月29日付)

 当局が行った「給与カット」提案に対して、多くの職場から怒りや不安、疑問の声が寄せられています。10月23日開催の団体交渉で浮き彫りになった当局の姿勢を、あらためて整理してみました。

提案理由は「国の削減」のみ!?

 当局が提案した「給与カット」の理由は、「国家公務員の給与減額(平均7・8%)により、本市のラスパイレス指数が大幅に上昇する見込み」というもの。しかし、「大幅に上昇」するのは、全国すべての自治体のはずです。

 さらに当局が国に合わせる根拠としているのは、地方公務員法第24条第3項の規定です。

 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。

 条文をていねいに読めば一目瞭然ですが、「給与決定にあたり考慮すべきもの」とは、生計費であり、他の地方公共団体の職員給与であり、民間事業の従事者の給与であり、その他の事情です。「国の職員給与」は、これらの項目の一つに過ぎません。

 他の地方公共団体の給与水準と比較しても、堺市のそれが「高い」と指摘されるような指標は見当たりません。また、民間の水準でも、今年の堺市人事委員会勧告を見れば、地域の民間賃金水準より堺市職員の賃金水準の方が、わずかながら下回っているという「公民較差」が示されています。これらの事情を勘案すると、職員の「生計費」は、非常に劣悪な状況のまま推移していることが、明らかになっています。

 さらに、「ラスパイレス指数の見込み」についても、疑問が残ります。

 今年の人事院勧告では、7・8%引き下げられた国家公務員の給与実態を認識しつつ、「減額措置が東日本大震災という未曾有の国難に対処するためのものであり、2年間の臨時特例」であることを理由に、減額前の給与水準で官民比較を行っています。「臨時特例」であることを理由にした対応が今後も行われる可能性は否定できず、総務省によるラスパイレス指数などの調査も、どういう基準で行われるかは明らかではありません。

 「労働基本権制約の代償」である人事委員会勧告に背を向けてまで強弁できる理由であるとは、とても思えません。

「財政運営」の責任を職員に押し付けるな

 当局は、提案理由として「現下の情勢をみると、景気の急速な回復は期待できず、本市の財政運営について厳しい状況が続く」「市民サービスの水準を低下させることなく安定的に提供し続けなければならない」とも表明しています。

 しかし、このことを理由とするならば、いつでも賃金カットができるということになりかねません。当局の職員給与に対する認識が、きわめて軽いと言わざるを得ません。

 さらに、この理由では、「2年間」に限定することに矛盾をきたしかねず、さらなる賃下げ、そして、他の自治体や民間も巻き込んだ「負のスパイラル」に道をつくることになります。

 私たち職員は、「市民サービスの維持・向上」に異論はありません。しかし、それを逆手にとって賃下げの口実にするようなことは、許すわけにはいきません。

職場からの世論ではね返そう

 間もなく秋季年末・賃金確定闘争が始まります。私たち堺市職労は、組合員・職員の生活と働きがいを前進させるために、切実な要求の実現に向けた運動を集中して取り組んでいきます。すべての職場から、怒りと要求を持ち寄って、この運動を前進させましょう。