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11年人事院勧告をめぐって、現在の検討状況を示す

官民較差がマイナスとなる可能性を示唆

 9月21日付のニュースにて報じた「9・14人事院前要求行動」。公務労組連絡会は、今年の勧告に関わって、現時点までの作業状況について、人事院から説明を求めました。

 これまでの交渉では、高齢者の給与引き下げ、給与構造見直しに関わる現給保障の廃止が焦点となってきていますが、人事院の現状説明では、現給保障を2年かけて全廃することをあらためて明らかにしました。

 人事院の説明は、職員福祉局の平野参事官がおこない、以下のように述べました。

●勧告は、今月中を目途におこなえるよう、現在、作業をすすめている。高齢層の退職者の減少、新規採用の抑制等の影響があり、行(一)職員の平均年齢は昨年と同程度の伸びを示しており、平均給与額も上昇している。民間企業の春闘期の賃金改定状況が、各種調査で昨年と同程度にあり、他方で公務員給与が上昇していることから、マイナスとなる可能性は高いと思われる。

●一時金も現在集計中だが、各種調査を見ると、民間の昨年冬のボーナスは対前年比で増加となっているものが多かったが、対前年比マイナスのものもある。今年の夏は、対前年比プラスとなっている調査がある一方、マイナスとなっているものもある。大震災の影響もあり、今の段階では何とも言えない。

●昨年の勧告で55歳を超える職員の俸給および俸給の特別調整額の1・5%を減じたが、特に50歳台後半層で官民の給与差がなおも相当程度残っている。これを是正するため、給与構造改革における経過措置について、12年4月から5割を削減し、13年4月に残りの額を削減することとしたい。それでも50歳台職員の給与は民間より相当高く、来年以降50歳台職員における昇格、昇給のあり方などを検討していく。

【定年延長で60歳を超える職員の年間給与は7割に減額】

 新たな高齢期雇用施策については、年金支給開始年齢の引き上げに合わせ、定年年齢を段階的に65歳まで延長することとし、以下のような基本的な考え方に基づいて、給与勧告と同時に「意見の申出」をおこなうことを明らかにしました。

●定年年齢は、13年4月から3年に1歳ずつ定年年齢を引き上げ、25年4月には65歳定年とする。60歳超職員の給与については、60歳に達した日の属する年度の翌年度から、60歳前の年間給与の70%水準となるよう設定する。

【広範囲に影響が及ぶ「現給保障廃止」は断じて認められない】

 これらの現状説明を受けて、公務労組連絡会の黒田事務局長は以下の点を指摘しました。

○「マイナス勧告」も示唆されたが、職員の生活実態を踏まえれば、「今年こそは改善勧告を」との切実な声がある。とりわけ、昨年、年間4月を割った一時金は、一昨年冬の民間ボーナスが大幅に減ったことが原因であり、全体として回復が見られる中で、今年はせめて4月を下回らないよう努力を求める。

○高齢者の官民の給与格差は、民間では60歳以上定年が少数であること、継続雇用や再雇用、出向などで賃金が下がっていることが要因だ。単純な比較をすべきではなく、ましてやそれを口実にした現給保障廃止は認められない。2年間の経過措置が示されたが、現給保障廃止には反対だ。再検討を求める。

○定年延長に関わって、60歳を超えた時点で7割程度に年収を引き下げることは認められない。働きがいを持って働き続けられる職場づくりこそ重要だ。

 しかし、平野参事官は、「人事院としては、官民較差に基づいて勧告をおこなう立場であり、民間給与実態調査の結果を見守りたい」などと述べ、その他の点についても新たな言及はありませんでした。

 勧告日は明らかになっていませんが、9月の最終週となるものと見られます。現給保障の廃止では、40歳台後半から賃下げの対象となる場合もあり、更に地方公務員や教職員にも連動すれば、影響の大きさは計り知れません。

 残された期間で、提起されている行動をすべてやり尽くし、職場・地域から人事院へ怒りの声を集中させていくことが重要となっています。