1月26日付
24日、経団連と連合が賃上げの方針などを説明する「労使フォーラム」が開催され、本格的な春闘が開始しました。
近年の物価高を背景に昨年は民間企業でも大幅な賃上げが行われ、3・60%という1993年(3・89%)以来、30年ぶりの上昇幅となりました(厚生労働省「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」ベース)。2024年についても底固い企業業績、好調な株価指数、人手不足感の強まりから昨年以上の賃上げを求める動きが労働組合のみならず経営団体からも見られます。
労組は大幅賃上げ要求
既報のとおり、堺市職労が加盟する全労連などの国民春闘共闘委員会が10%以上の賃上げ要求をめざしてたたかうとしました。比較的「労使協調」姿勢を取る日本労働組合総連合会(連合)はベースアップ相当分として3%以上、定期昇給分をあわせて5%以上とおよそ30年ぶりの水準となった昨年を上回る賃上げを求める方針を固めました。産業別でも繊維、流通、サービス業などの労働組合で作る「UAゼンセン」がベースアップ相当分と定期昇給分を合わせて「6%を基準」とした賃上げを求める方針で、昨年の「6%程度をめざす」から表現を強めています。
経団連も賃上げ言及
日本経済団体連合会(経団連)についても十倉雅和会長(住友化学会長)が労使フォーラムにおいて「昨年以上の熱量と決意を持って、物価上昇に負けない賃金引き上げを目指すことが、経団連・企業の社会的責務」「4%の賃金引上げを念頭」と発言し、労使全体で賃上げの動きが加速しています。
NHKが先月20日から今月15日にかけて、国内の主な企業100社(トヨタ、三菱UFJ、KDDI、日立など)を対象に行ったアンケート調査においても、今年の賃上げについて
▼引上げる 18社
▼引き上げる可能性が高い 27社
▼検討中 40社
となっており、さらに引上げ幅については「検討中」を除くほとんどが「前年を上回る」か「前年並み」と回答。多方面の動きで昨年以上の賃上げが期待されます。
実質賃金がマイナス
しかし、物価の高騰に対する、いわゆる「実質賃金」については5%の引上げが実施されたとしても未だマイナスという厳しい状況にあり、現在の異常な物価上昇に対応した状況にありません。
本市においても昨年の秋季年末交渉の結果、給料表が改定され、とりわけ大卒初任給6・37%を中心に若年層については一定の賃上げがなされました。しかし中高年層においては0・3%程度に留まり、物価上昇に追いつかない「実質マイナス」状態が継続しています。
官公庁にとって賃上げを大きく決定するのは夏の「人事院勧告」、秋の「人事委員会勧告」で民間の春闘は無関係と思われがちですが、勧告制度は民間賃金との均衡を基本としています。公民一体となって春闘での大幅賃上げを達成し、秋季闘争における公務労働者賃金改定にも反映させていきましょう。