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敵基地攻撃能力保有・防衛費増額 180度転換?物価高に増税?どこを削減?

12月21日付

交渉で賃上げ(初任給等)や一時金の引上げが回答されました。足元のことに気を取られていると、国では、防衛などで、方針転換が急速に進められようとしています。

 

なぜ180度変更可?
 これまで日本は「専守防衛」を掲げてきました。それが180度変わるかもしれません。
 16日、岸田政権は、安保3文書の改定を閣議決定。相手のミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有などの軍事力強化を国家の最重要目標としました。ある国が日本を狙ってミサイルを撃とうとしている場合には、日本が先にその発射拠点を攻撃できる能力を持とうということです。
 「相手国に攻撃的な脅威を与えるような兵器を保有することは憲法上できない」ーこの解釈は、戦後政府が一貫して主張してきたものです。保有できないとしてきた能力を、どうして持てると解釈できるのか、国民的に議論が尽くされているでしょうか。


2%は30か国中9か国
 また、防衛費も大幅に増額するとしています。これまで防衛費は国内総生産の1%程度の水準を目安にしてきましたが、岸田首相はこれを将来、GDP比2%とするよう防衛大臣財務大臣に指示。
 政府は防衛政策や防衛費のあり方を変える理由として、ロシアのウクライナ侵攻や中国、北朝鮮の脅威を強調し、国民の不安に便乗しているともとれます。
 というのも、ウクライナ侵攻前の21年総選挙で自民党が公約にしていた「2%」は元々、米国のトランプ前政権がNATO加盟国に要求したもの。多くの国が1%前後でしたが、NATOは14年に、24年までの10年間で国防費をGDP比2%に上げる目標を決めました。
 そもそも日本はNATO加盟国でもなく、しかも、加盟国でさえ、2%達成は22年推計で30か国中9か国にすぎません。それをたった5年で2%へ倍増しようということです。


経済対策と増税
 防衛費の増額をめぐって、岸田首相は安定財源確保のため、2027年度までに段階的な増税を実施する方針を示しました。政府の有識者会議の報告書では「国民が広く負担する」ことが明記されました。「企業努力に水を差してはならない」ことも述べられており、どこに矛先が向いてくるのでしょうか。
 賃金が上がらないもとでの物価高に対する経済対策が実施されようとしている最中に、増税の方向を示すこと自体、矛盾していますし、相反することを行うに相応しい内容が、国民の前に明かにされているでしょうか。


一体どの歳出を削る?
 同時に、「歳出の改革」も柱の一つです。すでに、岸田政権は、物価高騰が進んでいた4月分から年金支給額を0・4%削減しました。10月には75歳以上の後期高齢者のうち370万人の医療費の窓口負担を1割から2割に倍増させました。さらに、介護保険制度の給付と負担の見直しの検討を続けるとしています。他にも、後期高齢者医療の保険料値上げも検討しています。
 6年目以降は毎年11兆円以上の防衛費になります。少子化の要因の一つとされている教育費に関して、大学授業料の無償化は、1・8兆円でできるとの試算もあります。
 防衛費は増額の一方で年金、医療、介護、子育ては削減・抑制でよいのか。少なくともそうした国民的な議論を抜きに、ことを運ばないように労働組合として声を挙げていきます。