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否めない唐突感 職場から疑問の声

市長が「堺市財政危機宣言」を公表(2月22日付)

 永藤市長は2月8日の市長記者会見において、R3年度当初予算案の概要説明とあわせ、「堺市財政危機宣言」(以下、「宣言」)を公表しました。

 

すでに「財務戦略」で取り組んできたが・・
 永藤市長は、就任後事業見直しに取り組み、昨年2月に過去10年間の財政状況を分析した「堺財務戦略」を発表。
歳入・歳出のあり方やストック戦略を示し、目標とする指標では「財政の持続性の確保」として、臨時財政対策債を除く市債残高を「2500億円程度を上限として減少させる」、財政調整基金残高の「当面の目標を100億円」と示しました。
 これを受け、昨年10月のR3年度当初予算編成方針では、経常収支比率が100%を超えたことなどから、歳出の削減方針を強く打ち出しました。
 このことを受け、職場では、事業の精査・見直しなど歳出削減に努力を重ね、予算編成を行ってきました。
 今回の宣言における財政状況の説明は、こうした「堺財務戦略」や、予算編成方針を基礎にしています。
 にもかかわらず「危機宣言」と打ち出したことにより、職場からは「厳しい財政状況やコロナで大変なことはわかるが、あまりに唐突」「どこで議論され、いつ決まったのか?」「マイナス影響を与える事業もあるのでは?」「『宣言』といわれるとやはり委縮してしまう」などの声があがっています。
宣言と方針への疑問
 宣言では、「感染症や災害等の不測の事態が起こった時に必要な対応と支援を機動的に行えない」と述べていますが、コロナ禍のような事態では全国の自治体とともに、政府に対し積極的な国費投入を求めるべきです。
 R3年度予算案との関係では、例えば、都市拠点における事業所立地を促進して「戦略的な誘導」を行うとされていますが、宣言が発するアナウンスがマイナスに効果することも懸念されます。
 「市独自施策の見直し」は「拡充されてきた住民サービスの見直し」を指していると思われますが、その施策によって市民の定住性の確保・促進効果による税源涵養についても検証が必要です。
 R3年度予算案には「将来の税源涵養につながる投資の呼び込み」として「新たな交通システム導入」「ベイエリアの活性化」の検討を推進することとされていますが、インバウンド回復やIR・万博などの不確定要素があり、宣言と事業進捗の整合が問われることとなります。
 「受益者負担の適正化」で使用料や手数料をR3~4年度に引き上げることは、コロナ禍にもかかわらず市民の負担を増やす懸念があります。
 「外郭団体の見直し」「時間外勤務縮減」はこの間継続して取り組まれています。「人件費を抑制するあらゆる手法を検討」とされていますが、コロナ禍で医療や公衆衛生、福祉、教育関係などケア労働の重要性が指摘される中、体制強化こそが喫緊の課題です。また賃金についても、昨年の人事委員会勧告を踏まえて期末手当が削減されたところであり、今後も様々なコロナ対応業務が続く中で、職員が安心して業務にあたれる賃金の保障は当局の使用者責任です。
 以上のことから、「いま、なぜ財政危機宣言なのか」という疑問を強く抱かざるを得ませんし、「R3~4年度を集中改革期間」として「市政全般の抜本的な改革」を行う、と強調する割には、根拠も意図も不明瞭です。
 堺市職労は引き続き、堺市行財政についての組合員の声、職場実態、独自の分析を踏まえて、春闘交渉、人員体制交渉などに取り組みます。皆さんのご意見をお寄せください。

 

堺市財政危機宣言」(要旨)
堺市は長い間「財政は健全」と発信してきたが、実際はH28 年度以降収支不足が発生し、基金を取り崩して財政運営
●さらに、収支不足が見込まれるにもかかわらず市独自の住民 サービスを拡充し、公共施設を整備した結果、財政の余力が なく、基金も近い将来底をつき、不測の事態に対応できない
●このため、「財政危機」を宣言し、「市民の命と暮らしを守 り、将来世代への責任を果す」ために抜本的改革を集中して 実施
●収支均衡をめざし、基金依存から脱却し「真に健全な財政」 を実現

財政危機への対応方針(要旨)
●R1年度決算で経常収支比率が100%を超え、現行の行政 サービス維持さえも困難
●「財政収支見通し」では毎年度30億円~50億円の収支不足
●従来の手法だけでは解消できず、以下の方針によりR3~4 年度を「集中改革期間」とし、市政全般の抜本的な改革を行 う
① 公共投資選択と集中
 公共施設やインフラ施設の新設、更新、維持管理の総量管理 や制限
② 公共施設の見直し
 各種施設の目的や機能を根本的に問い直し、民間を含む他施 設の活用も視野に入れてあり方を検討
③ 外郭団体の見直し
 外郭団体の経営効率化の促進や役割の見直しを実施
④ イベント・補助金・その他市独自施策の見直し
 イベントや補助金をはじめとする市独自施策の見直し
⑤ 収入確保
 使用料や手数料の見直しなどの受益者負担の適正化
⑥ 人件費の抑制
 業務効率化による時間外勤務の縮減をはじめ、人件費を抑制 するあらゆる手法を検討