5月13日付
異常な「前のめり姿勢」
人工島「夢洲(ゆめしま)」でのカジノ誘致と万博開催をめざす大阪府・大阪市は、2025年万博開催前のカジノ開業をめざして、「前のめり」で走ってきました。
しかし3月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、公募手続きを3カ月延期、万博開催前の開業を断念すると表明しましたが今後の影響は見通せず、再延期の可能性もあります。
なぜ「万博開催前のカジノ開業」にこだわってきたのでしょうか。
大阪府・市は、昨年11月末にカジノ「実施方針案」を発表し、自民党の秋元司衆院議員(元内閣府副大臣)がカジノ汚職で逮捕される前日という絶妙のタイミングの12月24日にカジノ事業者の正式公募を行うなど矢継ぎ早にすすめています。また早期開業にこだわり、本来、カジノ事業者に実施義務がある「環境アセスメント」を大阪府・市が7200万円の税金を支出して一部先行実施するなど異例の動きを行いました。
このように万博開催前のカジノ開業にこだわるのは、2800万人と見込まれる万博の入場者をカジノに呼び込みたい事業者の利益を優先させた判断とみられています。
一方、国はカジノ管理委員会発足を強行したもののカジノ汚職の捜査の広がりを受け、基本方針の決定を延期、一部修正を余儀なくされています。
しかし、なぜ国の基本方針決定前に大阪府・市が先にすすめられるのでしょうか?
それは、昨年8月に大阪市で開催された「IRフォーラム」で当時の萩生田自民党幹事長が、基本方針案で大阪の先行を容認するよう盛り込むとともに、契約期間を長期化させるなどカジノ事業者への最大の配慮を明言したからです。
大阪の「実施方針」にはそれが見事に具現化され、契約期間は35年間、かつ反対派が首長になるなどで途中解約した場合の賠償金支払い義務まで明記され、一度契約したら戻れない仕組みになっています。(つづく)