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安倍政権「規制改革会議」、労働法制「規制改革」を答申

全労連は「断固反対」の声明

(6月17日付)

 安倍政権の「規制改革会議」は6月5日、労働法制の規制改革に関わって、答申を行いました。これに対し全労連小田川事務局長は、「労働法制の『規制改革』に断固反対する」とする談話を発表しましたので、紹介します。

 今回の答申の最大の特徴は、アベノミクスの成長戦略の中核として、雇用・労働分野の規制(労働者保護)を徹底的に骨抜きにしようという点にある。

 規制改革会議は「賃金を上げるのであれば、雇用の柔軟性を高める政策を実行すべき」として、雇用流動化を正当化するが、その誤りは明らかである。「失われた20年」でも明らかなように、雇用が流動化、不安定化すれば賃金は下がり続け、デフレ不況をさらに深刻にすることは必至である。

 留意すべきは、労働法制の「規制改革」が、TPP交渉参加表明と軌を一にして加速したことである。TPPが、日米の多国籍大企業の利益に傾倒して、労働者・国民と地域社会を犠牲にするものだと指摘してきたが、それが現実のものになりつつある。

 答申の具体的な施策では、第一に、「正社員改革」の突破口として「限定正社員」の雇用ルールの整備が盛られた。日本の正社員を職務や勤務地、労働時間(残業)が限定されていない「無限定社員」と決めつけること自体が誤りだが、その「誤解」の上に「限定正社員」で「多様で柔軟な働き方」を実現するという絵空事が描かれている。

 第二には、労働者派遣制度の抜本的な見直しが盛られたことである。「常用代替防止」という大原則を転換し、「臨時的・一時的な業務」「専門業務」などに限定する規制のあり方を見直すよう求めており、労働者派遣を自由化するものにほかならず、「年越し派遣村」の出現まで至った経過を再現しかねない。

 第三には、労働時間規制の大幅な見直し、骨抜きである。企画業務型裁量労働制フレックスタイム制の要件緩和をはじめ、答申には「時間外労働の補償の在り方、労働時間規制に関する各種適用除外と裁量労働制の整理統合等労働時間規制全般の見直し」が明記された。規制改革会議は「多様で柔軟な働き方の実現のための環境整備」とするが、実際にはサービス残業不払い残業)の事実上の合法化であり、歯止めのない長時間過密労働につきすすむものにほかならない。

 第四には、有料職業紹介事業の規制改革である。「民間人材ビジネスの活用によるマッチング機能強化」などというが、公的職業紹介事業を縮小し民間人材ビジネスの儲けの場を拡大しようというものにほかならない。

 以上のとおり、労働法制の「規制改革」では、雇用流動化の名で雇用の不安定がすすみ、賃下げ競争が強いられる社会しか想定できず、労働者や国民、地域社会の「未来」につながらないことは明らかである。全労連は、そのような労働法制の「規制改革」に断固反対する。

 現在の日本の労働者の現状を踏まえれば、やるべき施策は、若者や女性、非正規労働者の処遇の改善のための制度改正である。

 最低賃金の引き上げなど賃金の底上げは緊急課題であり、時間外労働の規制強化など実効ある労働時間短縮策を講じるべきである。子育てや介護などに配慮した時短・休暇制度など正社員のままで働き続けられる対策を急ぐべきである。

 全労連は、来る参議院選挙をその第一弾のたたかいとして、労働法制の改悪を許さず、憲法をいかした雇用と社会保障を中心におく日本の実現をめざして奮闘する決意である。