堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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防災まちづくり学習交流集会

いのち・くらしを守る地域自治体をどうつくるか 43市町村防災アンケートの報告も(6月28日付け)

 6月23日、大阪自治労連・大阪から公害をなくす会・大阪自治体問題研究所の主催で「防災まちづくり学習交流集会」が開催されました。

【コミュニティレベルでの行政の分権】

 集会ではまず、奈良女子大学中山徹教授が「大阪の防災まちづくりを考える」と題した記念講演を行いました。

 中山教授は、東日本大震災をふまえこれからの防災まちづくりを考える上では、「人口減少・産業構造の転換・高齢化・環境」などをキーワードに、災害に強いまちと暮らしやすいまちを一体的に考えることが必要だと述べた上で、20世紀の住宅地のモデルは「郊外庭付き一戸建て・高層マンション・自動車交通」であったが、21世紀は「低層(集合)住宅・社会サービス・公共施設」だとされました。 また、まちづくりを支えるコミニュティの再生のためには、コミュニティに権限、財源をどの程度与えることができるのか、コミュニティレベルにおける行政の分権が不可欠だとして、行政の広域化の動きはこのような流れと逆行するものだと指摘しました。

【中止令に反して観測を続けた職員の良心】

 続いて、震災後の5月、大槌町での全戸訪問健康調査に参加した保健師の吉田さん、国土交通労働組合近畿地方協議会の役員の方からの「東日本大震災の対応と国出先機関の役割」と題した報告が行われました。

 報告では冒頭、朝日新聞が「プロメテウスの罠」で報道した『観測中止令』(福島原発の事故以降異常な数値を示していた大気と海洋の環境放射能測定を2011年3月末をもって国が予算凍結をし、観測中止令を出した)で明らかにされた、本庁からの突然の放射能観測中止令にもかかわらず研究者の良心で観測を続けた気象庁気象研究所の専門職員の例をあげ、心ある国家公務員は、常にこのような状況との葛藤を強いられながら仕事をしている。今回の災害で職員や機材も全国動員して被災自治体をバックアップした地方整備局の役割を見れば、「出先機関不要論」は拙速にすぎると問題提起しました。

 この他、43市町村防災アンケートの回答の分析、市民の視点から防災まちづくりをチェックした取り組み報告などが行われました。アンケート回答は冊子にまとめられ、近日刊行される予定です。