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TPP参加問題 安易な交渉は許せない

2012年が正念場 国民の安全・暮らし・経済を破壊(1月12日付け)

 昨年11月に野田首相が交渉参加に向けて協議開始を宣言したTPP(環太平洋連携協定)問題。日米両政府の事前協議が今月中にも本格化する見込みです。アメリカの国益多国籍企業の利益に沿って輸入自由化規制緩和をすすめるTPPは国民の安全・暮らし・経済を破壊しかねない深刻な問題を引き起こす危険性があります。

【不利な状況でルール押し付けも】

 TPP参加9カ国は2010年から交渉を積み重ねており、昨年11月大枠合意に達しています。2012年に追加的交渉を行うことになっており、今年の年末までには最終合意に至ると見られています。

 一方、日本が交渉に参加するには、交渉参加9カ国の同意が必要であり、そのうちアメリカは議会の承認も必要となります。日本の立場では、ルールづくりに参加するどころか、アメリカを始めとした9カ国によって決められたルールに合意するかを迫られることになりかねません。先のマレーシア会合では参加前の新規交渉国との情報共有は認めない方針が決められるなど、国民が中身を知らないまま政府が決断をすることになります。

規制緩和要求で脅かされる安全】

 TPPは幅広い分野で障壁ゼロを目指す自由化協定であり、TPPで農業や食料自給率がますます危機的状況に陥るだけでなく、食の安全も脅かされます。

パスワードさっそく日本政府はアメリカの要求を受け、BSE対策でアメリカ産牛肉の輸入を月齢20ヶ月以下に限定していたのを、30ヶ月以下に緩和する方向で検討、残留農薬・農薬使用の規制緩和、遺伝子組み換え食品の表示義務の撤廃も押し付けられる恐れがあります。

次項有医療の分野でも「非関税障壁撤廃」の名の下で、混合診療の全面解禁や営利企業の病院経営解禁をアメリカは求めており、国民皆保険が破壊される危険性があります。薬価も自国の製薬業界を守るため、アメリカは高値維持を主張しています。

次項有TPPで外国企業の公共事業参入の条件が緩和されれば、建設業界にも大きな打撃を与えます。アメリカ通商代表部の外国貿易障壁報告書の日本部分には、アメリカ企業が特に関心を抱くのは高速道路、公共建築、鉄道調達、都市開発、再開発、港湾施設拡張など明記されています。

次項有さらに恐ろしいのは、多国籍企業が「不利益を被った」とき当該の政府・自治体を訴えることができるとするISD条項。アメリカがこの条項をTPPに盛り込むように求めています。多くの分野で不安が強まる中、野田首相は「国益を守る」と言っていますが、国益とは企業の利益ではありません。

国民の安全・暮らしを破壊するTPP問題は正念場を迎えています。