「不当な支配を許すな!」の声をさらに広く
12月7日付の各紙新聞報道によると、大阪維新の会が府議会に提案している教育基本条例案について、文部科学省が違法の可能性を指摘しました。
大阪維新の会が9月に教育基本条例案(以下「条例案」)を上程したことを受け、大阪府教育委員会が文科省に対し、条例案の適法性について見解を問い合わせていました。同省は内閣法制局と協議のうえ、5日に回答をおこなったものです。
条例案は、政治が教育に介入するとして、知事が教育目標を設定し(条例案6条2項)、その教育目標を規則により定める(条例案12条1項)とされています。
【条例案の根幹部分について違法性を指摘】
この条例案の根幹部分について、同省は「教育に中立性、安定性が求められることから、首長から独立した合議制の機関である教育委員会が教育事務の大部分を担う」とした地方教育行政法(以下「法」)の趣旨を強調。
その上で、首長の権限は法24条及び24条の2(大学及び私立学校に関することやスポーツ振興事業、文化事業など)で定められていますが、「知事が教育目標を設定する」とする条例案の規定は、「法に定めた首長の職務権限に属さず、法の規定範囲を超えて知事が規則制定することはできない。」としました。
【罷免理由にはできないと指摘】
さらに「知事の定める目標を実現する責務を果たさない教育委員は罷免できる」(条例案第12条第2項)とする規定も「知事に目標を定める権限がないので、罷免理由にはできない」としています。
【民法協も違法性を指摘する公開質問状】
同条例案については、民主法律協会からも維新の会に対し、(1) 政治家の意向が教育内容を決定づけることとなり、教育基本法16条が禁止する教育への「不当な支配」に該当して違法である、(2)法律・裁判例に照らせば、相対的人事評価により分限免職とする教育基本条例案は違法、(3)最高裁判決(平成23年6月6日判決)に照らすと「君が代」起立斉唱の職務命令に違反した教員に対して、本条例により一律に免職という重大な処分を課すことは違憲である、などと指摘する公開質問状が維新の会各府議会議員に対して提出されています。