堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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さかい未来づくりサロン② 神山視察を振り返って

4月9日付

T・Kさん

今年で4回目となる、さかい未来づくりサロンの一環である視察旅行に参加しました。

 今回は徳島県の北東部にある神山町です。神山町は173㎢と堺市よりも広い面積であるが、その約86%が山林地帯であり、人口は約5000人と過疎が進んでいる地域です。

 その神山町を象徴するのがこの1枚の写真です。

 自然に囲まれた川に足をつけながら、パソコンで仕事をする人が写っています。こんな田舎で電波届くの?と疑問を持つかと思いますが、実は神山町は町内全域に高速ブロードバンド網が整備されており、インターネット等どこでも電波を拾うことができます。

 このような環境が整備されたきっかけは、2005年の地上デジタル放送への移行でした。これまで、大阪と同じように関西圏の放送を受信していたのですが、地デジ移行に伴い、放送圏から外れることとなったのです。そこで、徳島県全体を通して光ファイバー網が整備されました。その後、神山町では町内各地にWiーFiスポットが設置された結果、どこでも電波が届くようになったのです。そんな環境からか、年配の方でもSNSなどを日常的に使用しているようです。

 これをきっかけに雇用も生まれています。都心に本社を構えるIT、映像、デザインなどの企業が支所を神山町に置くサテライトオフィスが増えてきています。右の写真は東京に本社を置くプラットイーズという会社です。外観は古民家ですが、テレビの番組情報を扱う事業を行っています。このオフィスで働く人は、自然に囲まれた良い環境で本社と変わらない仕事ができているといいます。

 町外からの移住企業等の受け入れを行っているNPO法人グリーンバレーの方にお話しを伺いました。グリーンバレーは、移住者の受入窓口を町から一手に引き受けています。

 移住者を受け入れる際にどんな方でも受け入れている訳ではありません。町にとって将来必要だと思われる働き手、企業家を町が逆指名する、ワークインレジデンスです。居住者の住居(レジデンス)ありきではなく、例えばここの空き店舗にパン屋さん移住してきませんか?という形で、仕事(ワーク)ありきで移住者を受け入れることで、町をデザインしているのです。

 今では移住希望者が後を絶たず、旧中学校跡に集合住宅の建設が進められています。公営住宅ではないので、移住者のみに向けられたものではなく、高校生以下の子どもがいる事が条件となっています。少子化に歯止めをかけるため子育て世代に住んでもらいたいという事、また居住者をサイクルさせるという狙いもあります。

 この集合住宅のプロジェクトを行っている神山つなぐ公社は、2015年に策定された、創生戦略「まちを将来につなぐプロジェクト」を実現していくために設立された一般社団法人です。そのメンバーには役場から出向されて来ている方もおり、行政主体では公平・中立性の観点から困難なことでも、実現が可能だと仰っていました。

 今回の視察をとおして、官民それぞれの役割について考えさせられました。

私たち自治体職員としては、公平性・中立性が求められ、それに沿って仕事をする必要があります。しかし、それだけでまちの発展が支えられている訳でなく、当然のことながら、民間の活動があって初めて成り立っています。

 神山町では、グリーンバレーや神山つなぐ公社の働きによって上手く官民の役割分担がなされていると感じました。それは普段の業務の中でも考えるべきことでもあり、官民問わず、適材適所と言える配置ができて初めて官民協同と言える、ということに気づくきっかけとなりました。