堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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『堺はひとつ』で都構想・維新に審判を③

大阪市役所労働組合・中山さんの講演より

(9月5日付)

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橋下市長による職員への軍隊的統制

 橋下市長は12年4月の大阪市新規採用職員の発令式で「あなたたちは国民に命令する立場になった」と訓示し、職員を「住民全体の奉仕者」とは見ていない特異さを示しました。

 そして、「大阪都構想」を実現するため「大阪市解体」が急ピッチで進んでいますが、その前提として「労働組合」の破壊と職員の軍隊的統制が強められました。

 軍隊的統制と言っても…、軍隊経験のない私たちにはなかなか理解できませんが、上官の命令には絶対服従で「イエスサー」と即答し、余計なことは考えない職員を作ることがその一つなのでしょう。職員は「思考停止」が求められますが、大阪市では幹部職員を先頭にその状態を早々に強いられたといえます。

 橋下市長による職員への脅しと統制は次のように行われました。

市長選挙開票日の記者会見で「今回の選挙は大阪市役所の主張とわれわれの主張が真っ向から対立して、民意が有権者がわれわれの主張を選んだわけですから、大阪市役所の職員にはその辺りをしっかり認識してもらうと同時に、政治に踏み込みすぎの職員がたくさんいる。民意を無視する職員は大阪市役所から去ってもらう。政治に介入したなと思う職員は、いさぎよく市役所をさってもらいたい。やっぱりこれはいくさですから」と脅しの発言。

● 投票日翌日、市役所に登庁する職員にマスコミが一斉に取材、「民意」について自分の意見を述べた職員を探し出すよう指示し「反省文」を書かせる。

● 正式に就任する前の12月8日付で総務局長名の通達「民意、選挙、公選首長と公務員、行政と政治についての基本認識の徹底について」を発し、憲法93条や地方自治法172条を引き、選挙で選ばれた市長に従うこと、また、地方自治法154条により「市長は職員を指揮監督する権限を法律上有」すると書き、さらに、地公法32条により「職員が上司の職務命令に従わなければ当然に違法となる」と念押し。(この時の総務局長は翌年に副市長に出世する)

● 橋下市長が正式就任した12月19日に前市長側近と言われる幹部職員6人を更迭する報復人事発令、いわゆる平職員に降格し「研修所」で現業職員の労務対策の仕事などを命じられる。

 次に年末になり労働組合への攻撃へ焦点が移ります。

● 12月26日には、市議会で大阪維新の会の議員が、大阪市交通局内での「職務専念義務違反」の事例などを告発し、それを受けて橋下市長は「庁舎内での政治活動は認めない。(本庁舎にある)組合事務所は公の施設から出て行ってもらう」と発言。

● 12月28日、施政方針演説で「市役所職員が民意を語ることは許しません」と持論を展開、「ギリシャをみてください。公務員、公務員の組合という者をのさばらしてしまうと国が破綻する」と労働組合への批判を行います。

 その後、労働組合を適正化する条例の制定を公言し、労働組合事務所の撤去を命じるのです。このような橋下市長による矢継ぎ早な職員攻撃によって、選挙直後には「大阪都構想」に批判的意見を庁舎内でも平気に話していた市職員の表情が急激に硬くなり、委縮していきました。

 私たち市労組は、組合機関紙の配布を市役所門前で定期的にとりくんでいますが、選挙後の12月、そして翌年1月と見事に受け取りが悪くなっていきました。それまで常に受け取っていた職員が会釈はするものの手を出しません。労働組合の機関紙を職場に持ち込むことすら憚れる雰囲気が市役所内に醸成されていったのです。

 ある職場での話ですが、管理職が「どこでもドアだ。ドアを開けたら橋下がいる、と思っていた方がよい。そのつもりでしゃべらないと」とジョークを飛ばしたところ、聞いていた職員は誰も笑わなかったといいます。

異様な管理職への連続「市長メール」

 私たちは組合事務所や思想調査アンケート問題で裁判闘争をとりくんでいますが、橋下市長から幹部職員に発信されていたメールが情報公開で明らかになりました。その中には年末・年始に発信されていた異様といえるものがありました。

 とりわけ、仕事納めの後の12月30日はメールが集中します。一時間おきに何度も「全局長」「全区長」宛のメールを発信し、自白を強要します。

 「もし組合と管理運営事項について協議していたという事実が判明した場合には、容赦なくしかるべき処分を断行します。ただし、今の段階で、組合との不適切な関係を自ら告白した者には、先日の告白ルールに基づき、免職はしませんし、罪一等を減じることはしっかりとやります」これは「告発者」の情報の存在を示して脅し、幹部職員へ自白の強要と屈服を迫っているという生々しいメールです。

 極めつけは翌年1月1日の除夜の鐘が鳴った直後の0時27分のメールです。

「あけましておめでとうございます。新年にあたり、今後僕と市役所組織が大阪のために力を合わせて仕事をするためにも、維新の会の代表である僕と市役所組織の間で選挙結果を踏まえた一定のけじめを付けましょう」との書き出しでA4版4ページにおよぶ長文のメールです。繰り返し自身の特異な主張が述べています。新年早々にこのようなメールが届くのですから受信した市幹部がげんなりしたことを想像することは難しくありません。恐怖心さえ感じたかもしれません。

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