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憲法と国際基準にそって地方公務員の労働基本権回復を~総務省設置の有識者会議で意見交換

国とは異なる地方自治体の実態をふまえた検討こそ必要

(10月3日付)

 地方公務員の協約締結権回復にむけて、政府が関連法案の国会提出をめざしているもと、総務省は現在、「地方公務員の自律的労使関係制度に関する会議」(以下、有識者会議)を設置して、制度のあり方についての検討を行っています。

 第1回会議では、この間の公務員制度改革をめぐる経過や現状などが事務局(自治行政局公務員部公務員課)から報告され、フリーな意見交換が行われました。

 第2回会議のヒアリングには、有識者会議の要請に応じて、全労連闘争本部から、黒田事務局長、猿橋委員(自治労連書記長)、今谷委員(全教書記長)が出席しました。また、使用者側からは、全国町村会の渡邊廣吉行政委員会副会長が出席しました。

 ヒアリングでは、猿橋委員が、地方自治体の実態をふまえた地方公務員の労働基本権回復の必要性とともに、現状の地方自治体における労使関係の実態についてのべ、今谷委員が教職員の権利回復に関わって補強的に意見をのべました(別掲)。

 また、その後の質疑・応答では、各有識者から、職場における労使交渉の現実や、中央交渉と地方交渉の関係とそれに対する考え方、現行の地方人事委員会は存続させるべきかどうか、中央交渉での妥結結果に対する対応など、多岐にわたる質問が出されました。

 これらに対して、この間の闘争本部での議論や、2度にわたって総務省に提出してきた「意見書」もふまえながら質問に答え、憲法と国際基準にそった公務労働者の労働基本権のすみやかな回復を強く主張しました。全労連闘争本部に対するヒアリングは1時間近くにおよぶものとなりました。

 堺市職労として、こうした動向をふまえ、労働基本権の回復に向けた取り組みを強化していきます。

猿橋自治労連書記長の意見表明(要旨)】

 第1には、ILOの再三にわたる指摘がある。今年3月のILO勧告では、従来の内容に加えて「完全な回復」との強い論調で指摘されている。先進国で日本だけが公務員の労働者としての権利が制限されている現状こそ、すぐにでも解決すべきだ。

 第2に、労働基本権制約の「代償措置」である人事院勧告・人事委員会勧告さえ無視した賃下げが国・地方自治体ともにおこなわれており、最近では、労使交渉の当事者でさえない議員提案による賃金労働条件の切り下げが強行されているのが現状だ。

第3に、「行政コストの増大」については、権利保障の問題を「コスト」で計ること自体が本末転倒の議論であり、「賃金・労働条件は労使交渉によって決める」という大原則を無視すれば、「労働委員会申立」「裁判提訴」などの事態が増加し、「行政コストの増加」につながりかねない。

 労働基本権回復がはかられることにより、こうした労使間の基本的関係がより明確になるものと考えている。