核不拡散条約(NPT)再検討会議が決裂
9月2日付
核軍縮を義務付ける核不拡散条約(NPT)再検討会議が決裂し閉幕したことを受けて、核兵器廃絶日本NGO連絡会などが、声明や談話を発表しています。
核兵器廃絶日本NGO連絡会は声明で、最終文書を採択できなかったことについて「NPTは機能不全に陥っている」と指摘、日本政府に核兵器禁止条約への参加を迫っています。
NPTは前文で「核戦争回避」をうたっています。ロシアのウクライナ侵略に伴う核戦争の阻止へ有効な合意が得られるかが注目されました。しかし、ロシア政府の拒否により、最終文書さえ採択できずに閉幕しました。
話し合いが決裂したことについて声明は、ロシア政府に「深い失望と強い憤りを禁じえない」と述べるとともに、他の核保有国に対しても「核軍縮の義務に真剣に向き合おうとしていない」と批判。「NPTが機能不全に陥っている今、核兵器禁止条約への参加と支持を広げる必要がある」と主張しています。
日本政府には「ヒロシマ・ナガサキの経験を出発点に核兵器そのものを許さない国際的な包囲網に加わるべき」と核禁条約への参加と、核兵器依存政策からの脱却を求めています。
川崎哲共同代表(核兵器廃絶国際キャンペーン国際運営委員)は同日開いた会見で「最終文書案では過去の核軍縮合意が再確認されているものの、核兵器の先制不使用など新しい提起は、核保有国などに全て否定され明記されなかった」と指摘。日本政府に対し「『NPTの下で核軍縮を進める』というが、NPTだけでは核兵器廃絶は達成できない」と述べ、核禁条約第2回締約国会議への参加を求めていくと述べました。
田中熙巳共同代表(日本被団協代表委員)は「非常に残念な結果。しかし、私たちには核禁条約がある。条約の賛同を広げる努力を続ける」と語りました。
反核・平和団体
原水協(原水爆禁止日本協議会)は「核保有5カ国が、NPT第6条(核軍縮の交渉義務)やこれまでの合意の履行を拒否していることこそ、二度にわたり決裂した最も本質的な原因であることは明らか」と批判しています。
原水禁(原水爆禁止日本国民会議)は「ロシア一国が反対して最終文書が採択されない残念な結果に終わった。ロシア政府には猛省を促したい」と非難。不採択だった最終文書案に「核兵器の先制不使用」が盛り込まれなかったことについて「NPTの限界を見る思いだ」と述べています。
両団体はともに日本政府が核保有国と非保有国との橋渡しの役割を果たしていないと指摘。唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約の批准、核兵器廃絶の主張を行うよう求めています。
自治労連の方針
自治労連は、先に開かれた定期大会において「核兵器禁止、軍事増強を許さず『戦争する国づくり』を阻止する行動にとりくみます」との運動の柱に基づき、
①「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」に、引き続きとりくみます。
②639自治体に及んでいる「日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める意見書」の採択をめざす運動を、原水協等と共同してひろげます。
③各地でとりくまれる「国民平和大行進」の成功をめざします。
④3月のビキニデー、8月の原水爆禁止世界大会に参加します。世界大会に連帯し、「自治体労働者平和のつどい」を開催します。
⑤岸田政権が狙う「敵基地攻撃能力」保有に反対し、平和団体に結集してとりくみます。との具体の運動方針を決定しました。