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大企業、自治体は人材確保へ大幅なベースアップの実行を!

大阪府下の求人はバブル期を上回る好調ぶり(1月12日付)

昨年12月27日に大阪労働局が発表した「大阪労働市場ニュース(平成28年11月分)」によると、大阪府下の有効求人倍率、有効求人数等はいずれも好調な数字となる一方、大企業からは17春闘におけるベースアップについてけん制する声も多く、労使間の駆け引きが始まっています。

大阪府の雇用情勢を表す数値はどれも好調

 大阪労働市場ニュースによると、大阪府の有効求人倍率東日本大震災直後の23年度に0・68倍と低水準だったものの、翌年度から0・81倍、1・01倍、1・12倍と上昇を続け、27年度には1・24倍に。28年も上昇を続け、最新の同年11月(季節調整値)では1・44倍となりました。これはバブル期を含めた平成以降最高記録となり、全国平均1・41倍、近畿平均1・32倍も上回りました。この要因としては有効求人数も20万4千人を超え、5カ月連続で昭和38年以降、50年以上にも及ぶ統計史上で最高記録を更新し続けるとともに、新規求職者が63ヶ月連続で前年同月を下回り続けていることが挙げられます。さらにこれは非正規を含めた数値であり、「求人が増えたといっても非正規ばかりで正規はほとんどない」との批判も多かったのですが、正規雇用も6年半に亘って有効求人倍率が上昇し続け、今回遂に1・00倍に到達しました。これらの好調な雇用情勢を受け、「では賃金も大幅に上昇する」となるのでしょうか。残念ながらそう単純な状況にありません。

財界の本音は「ベースアップでなく一時金に留めたい」

 日本経済団体連合会経団連、会長=榊原定征東レ相談役最高顧問)が昨秋まとめた2017年の春闘に向けた経営側の指針である「経営労働政策特別委員会報告」の原案では「年収ベースの賃金引き上げ」を会員企業に呼びかけることを明記する一方で、賃金の引き上げ方法は「定期昇給の実施や、ベアに限らず、さまざまな選択肢が考えられる」と表現するに留まっています。裏を返せば「後年にも影響するベースアップでなく、一時金の引上げで対応したい」という意図が見え見えなのです。

官製賃上げも実質的な生活は苦しいまま

 政府としても安倍首相が主導する「アベノミクス」の効果を国民に広げるため「官製賃上げ」を演出していますが、ここ3年賃上げが続いているものの、思った程の上昇幅を確保できていないのが現状です。また全労連自治労連が長期に亘って訴えてきた「大企業の内部留保を賃上げ・ベースアップによって労働者に還元すべき」という意見が政府内でも最近ようやく表れており、運動の成果が少しずつ反映されようとしています。

 この3年間、わずかずつながら賃上げがあったといってもそれはアベノミクス主導のインフレ政策、消費増税に比べて小幅に過ぎず、消費者・労働者にとって生活が楽になった実感は全くありません。また雇用情勢が好調な中では優秀な人材の奪い合いとなり、賃金が低いままの事業体・地域は人材流出の危機にさらされるのは明白です。

 地域経済活性化、人材確保のために大企業や自治体は地域に貢献する、大幅な賃上げ、ベースアップを着実に実行すべきです。