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参議院選挙の争点⑤安倍首相の語らなかったこと 問われる立憲主義、民主主義

必ず投票を!(7月8日付)

7月10日は参議院選挙の投票日。日本の将来にとって重大な岐路に立つ選挙ですが、「何が争点か分からない」「投票しても変わるのか」といった声もあります。参議院選挙の争点について、安倍首相がこの間、何を語らなかったのかを中心に考えます。

公開討論出演拒否

 論戦が本格化する公示後、安倍首相が出席した公開討論は、6月24日のNEWS23だけ。「投票日前の2週間、党首討論が全くない」状況がまかり通ろうとしています。

改憲語らず

 昨年9月19日に「立憲主義破壊」「平和主義守れ」の国民の声を踏みにじり強行可決させた平和安全法制(戦争法)に続き、年初の通常国会でも、戦力不保持を規定した憲法9条2項の改定=削除に連日言及し、改憲勢力改憲発議に必要な3分の2以上の議席を目指すとまで明言した安倍首相。しかし3月の自民党大会以降は改憲発言を避けています。 安倍首相は、秘密保護法や戦争法制定でもそうだったように、選挙が近付けば本音を隠し、経済問題などでやり過ごしてきました。

アベノミクス、語らない2つの指標

 安倍首相が誇るアベノミクスでも、重要な2つの指標、(1)実質賃金が5年連続マイナス、(2)戦後初めて個人消費も2014年度、15年度と2年連続マイナス、が語られていません。

 また、7月1日、年金運用について、15年度決算で5兆数千億円にのぼる巨額損失が明らかになりました。「アベノミクス」による「株高」を演出するため、危険な株式運用を倍増させ、巨額損失を生み出した安倍首相の責任は重大です。

言葉だけ?一億総活躍

 「介護離職ゼロ」「出生率1・8」を高々と掲げた安倍首相ですが、実際の政策はそれに見合いません。介護では、要介護認定者の過半数を占める軽度者(要介護1・2=約229万人)について、訪問介護の生活援助や、ベッドなど福祉用具レンタルの「原則自己負担化」を来年の通常国会提出を目指し、具体案の検討を開始。

 また保育では、「保育園落ちた」問題で注目された待機児童対策に欠かせない保育士の賃上げについて、全産業平均に比べ月額10万円も低い保育士賃金は、わずか月6千円の賃上げを示したのみです。

なぜ語らない?

 背景には、「安保法制廃止、立憲主義を取り戻す」を一致点に出発した野党共闘の前進があります。これは、「野党は共闘」という市民の声に応えた4野党の合意でしたが、参議院1人区全てで共闘が成立するという戦後初の状況が生まれています。また4野党は戦争法廃止以外にも、先の国会では、雇用、社会保障、子育て、被災者支援など15本の議員立法を提出するなど、「共通政策」協議をすすめています。

 こうした野党共闘が安倍政権に代わりうる選択肢として浮上することを避けるため、安倍首相は「語らない」選択をしていると考えられます。

 日本の民主主義がかかった重大な選挙、すべての職員・組合員のみなさんが投票されることを改めて訴えるものです。