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礒崎首相補佐官発言

元官僚で自治体幹部、現政権中枢が

法に基づく統治のあり方軽視

(7月31日付)

 「集団的自衛権もわが国を守るためのものならいいのではないか」「何を考えないといけないか、法的安定性は関係ない。わが国を守るための必要な措置であるかどうか(だ)」

 元総務官僚で、1998年に堺市財政局長を務められた当時、わかりやすい公用文の書き方を厳しくチェックされた、礒崎陽輔首相補佐官の発言(26日)が、平和安全法制(戦争法案)審議に大きな波紋を呼んでいます。

 政府はこれまで戦争法案について「従来の政府見解との論理的整合性と法的安定性は維持されている」と説明してきましたが、その立場を足元から否定するものです。

 安倍内閣の戦争法案の法的安定性の「論拠」は、1972年政府見解の「基本的論理」が維持されていることです。しかし、そもそも72年政府見解は「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」としたもの。昨年7月1日の「閣議決定」は、この72年見解から「国民の権利が根底から覆される事態」をつまみ出して「基本的論理」だとし、そこに「国際情勢の変化」をあてはめ百八十度異なる結論(集団的自衛権行使容認)を導きました。

 それにもかかわらず、政府は「基本的論理」が維持されているから「法的安定性は保たれている」と強弁。

 この結果、「国際情勢の変化」のあてはめで、憲法の解釈も武力行使の範囲も変化するという、不安定性と根本的な矛盾をはらむことになりました。

 礒崎氏は27日に発言について問われ、「国際情勢が変わったから必要最小限度の(武力行使の)内容が変わっていくことは、別に新しい発言ではない」「法定安定性が変わるからおかしいというだけで、憲法違反というのはおかしい」と言い放ちました。

 「情勢の変化」で憲法解釈がいくらでも変わることは当然だという姿勢であり、「閣議決定」の本質=立憲主義の否定を浮き彫りにしています。

 礒崎氏は安全保障担当首相補佐官として、昨年7月の「閣議決定」、それに基づく戦争法案取りまとめの中心的役割を担ってきました。

 日本国憲法は、閣僚や国会議員に憲法尊重擁護義務を定めるとともに、憲法に反する法律は「効力を有しない」と定めています。政権中枢の一員でありながら、憲法の「法的安定性」はどうでもいいと公言する礒崎氏の発言は、厳しい非難を受けて当然です。

 何より、安倍首相は更迭要求に対しては、「疑念をもたれるような発言は慎むべきだ。事情を聞き注意している」と述べるだけです。首相が政権の説明と百八十度異なる礒崎氏の発言をかばい続ければ、それこそ政権の本音ということになります。