自治労連が談話
(2月5日付)
総務省が1月14日に発表した2015年度の地方財政対策に対して、自治労連中川悟書記長が談話を発表しました。
地方の一般財源総額は税収増により前年度を上回る61・5兆円を確保しています。しかし地方交付税の総額は、前年度より1300億円減の16・8兆円となり、3年連続の削減になっています。地方交付税の不足分を補う臨時財政対策債も前年度より1・1兆円減額され、4・5兆円となっています。「三位一体改革」以降、地方の財源不足は依然として深刻であり、2014年度も10・6兆円もの財源不足が生じています。地方の税収は全体として増収になっても、地方の税源には格差があり、地方自治体間の財政力の格差は拡大しています。地方交付税は地方の財源格差を是正し、地方の財源不足を解消させる重要な役割を担うものであり、今後も、法定率の抜本的な引き上げを含めた拡充が求められます。
地方議会からも意見書
地方財政対策は「まち・ひと・しごと創生事業費」として1兆円を計上していますが、その中に前年度からの「地域の元気創造事業費」3500億円分が含まれています。「地域の元気創造事業費」における地方交付税の算定は、「現行の算定方法を基本的に継続」するとして、昨年度に続き人件費削減などの「行革努力」を反映させています。地方交付税の目的、理念に反して地方に特定の施策への誘導を図る算定方法に対しては、「地方自治、地方分権の理念に反するものであることから、このような算定を改めること」とする意見書が岩手、宮城、和歌山、広島、高知の各県議会をはじめ、全国の多くの地方議会からも上がっています。
公共施設の統廃合や地域医療の後退
「公共施設の老朽化対策の推進」として、公共施設を「集約化・複合化・転用・除去」する財政措置として、昨年の債権発行に加え新たな事業経費を打ち出しています。公共施設を耐震化、新増設する財政措置が十分でない中で、公共施設を解体、統廃合する財政措置をうちだすことは、地方を公共施設の統廃合に誘導することにつながりかねません。また、「公立病院改革の推進」として、「公立病院改革ガイドライン」に基づいた「再編・ネットワーク化への財政措置の重点化など、地方財政措置を見直し」するとしており、地域医療を後退させかねない内容です。
国がやるべきことは、国民が全国のどの地域に住んでいても憲法に基づく健康で文化的な生活が営めるようにナショナルミニマムを保障し、地方自治体の財源格差を是正して、地方財政を拡充させることにあります。「行革努力」を反映する地方交付税の算定や、公共施設の統廃合、公立病院の再編を促進する施策は行うべきではありません。
地方財政の拡充を
自治労連は、地方自治体が憲法に基づき「住民の福祉の増進」(地方自治法)を図る役割を発揮するために、国が責任を持って地方財源を保障することを要求します。地方交付税については「三位一体改革」で大幅に減らされた額を元に戻し、地方財源格差を是正し、財源保障の機能を果たすよう、制度の拡充を図ることを求めます。
自治労連は、2015年度政府予算案が審議される通常国会に対する取り組みをはじめ、公務公共サービスを支える地方財政を拡充させるために、引き続き、住民、自治体関係者との共同を広げてたたかいます。