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国民皆保険を空洞化

混合診療」解禁を表明

10日、安倍首相が東京都内で

(6月13日付)

 安倍晋三首相は10日、保険診療保険外診療を併用する混合診療を受けやすくするとして、「患者申し出療養制度」(仮称)を来年度にも開始する考えを東京都内の大学病院を視察した後、記者団に語りました。

 首相表明の内容は、公的保険が利かない医療と利く医療を併用する「混合診療」について、患者側からの申請に基づいて認めていく仕組みを導入するものです。お金のある人だけが受けられる「混合診療」を事実上、解禁するものとなっています。これは、医療・製薬業界の要求に応えたもので、今月中にまとめる「成長戦略」に盛り込み、来年の通常国会に関連法案を提出する構えです。

 新たに導入するのは「患者申し出療養制度」。「混合診療」が認められる病院も現行の「国が認める医療機関」から、一定の医療レベルを持つ地域の医療機関にも広げ、従来は6~7か月かかっていた審査期間を、前例のある場合は2週間で、前例がない場合は6週間でそれぞれ判断するとして大幅短縮を打ち出しています。また、より身近な医療機関でも先進医療を受けられるよう柔軟に対応する仕組みとするとしています。

 混合診療は現在、だれもがいつでもどこでも医療を受けられる「国民皆保険」の立場から認められていません。保険適用の研究などのために安全性や経済性などが認められるものに限って、「保険外併用療養制度」として例外的に併用を認めています。新制度では、全額自己負担となる治療が飛躍的に拡大して、医療格差が広がる一方、安全性などが問われる国内未承認薬などが広範囲に使用されることになります。

 日本医師会などの慎重論で長年、実現できなかった混合診療の大幅拡大に踏み切ろうとする首相表明の新制度に対して、医療・患者団体は、保険の利かない医療が際限なく拡大し、国民皆保険制度を空洞化させるとして、こぞって反対しています。