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財政制度審議会が17年度社会保障費削減を建議

12月1日付

健康保険・介護保険等さらに負担狙う

国の17年度予算編成において、財政制度審議会が社会保障費用の大幅な削減を求めたことを受け、社会保障審議会においても、後期高齢者医療制度、高額療養制度、介護保険制度等における改悪が狙われています。

財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)が17年度予算編成に向けて、歳出削減を求める「建議」をまとめました。最大の標的は社会保障費で、医療や介護などの負担増・給付削減を次々と迫るものになっています。

 安倍政権は昨年閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」で、社会保障費の「自然増」を3年間で1兆5000億円(毎年5000億円)規模に抑え込む方針を明記し、16年度には診療報酬のマイナス改定をするなど削減・圧縮を実行しています。

1400億円削減

「手綱を緩めるな」

 社会保障の自然増は、高齢化の進展や技術の進歩などに伴うものです。それを無理やり一律カットすることは、医療、介護、生活保護、年金など社会保障のあらゆる分野で深刻な矛盾やひずみを引き起こしています。

 しかし、安倍政権はそのことへの反省はありません。17年度の予算編成では、年間1兆~8000億円程度とされる社会保障費の自然増を厚生労働省が6400億円に圧縮して概算要求したのにたいし、財務省などはそれをさらに1400億円削り5000億円にすることを要求、予算編成の大きな焦点の一つとなっています。

 今回の財政審建議は、社会保障削減への強硬ぶりをいっそう露骨に示しています。建議の本文約80ページのうち20ページを社会保障についての記述に割き「手綱を緩めるな」「改革を集中的に進める機会と捉えよ」「先送りでなく前倒しを」と一歩も譲らぬ姿勢です。

国民皆保険制度も

過剰なサービスが

行われやすいと攻撃

 いつでも誰でも必要なときに低額で医療にかかれる「国民皆保険」の仕組みにも「コストを明確に認識しないまま、自由に医療機関にかかりやすく」「過剰なサービス提供が行われやすい」などとケチをつけています。

 これを受け、安倍政権は17年度から、高齢者を狙い撃ちした医療と介護の負担増を計画し、社会保障審議会の部会で大詰めの議論が行われています。

 75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、低所得者や扶養家族だった人の保険料を最大9割軽減している特例措置について、17年度から段階的に廃止します。対象者は75歳以上の6割近い916万人(16年度)にのぼり、保険料は2~10倍に跳ね上がります。

 この軽減措置は、同制度反対の世論と運動に押されて導入されたもので、廃止する理由などないものです。

 医療費負担の上限を定める「高額療養費制度」は、70歳以上の人を現役世代と同水準に引き上げ、外来のみの負担を軽くする上限特例も廃止します。

 高齢者が長期入院する療養病床で、医療の必要性が比較的低い人の光熱水費を、現在の1日320円から370円に引き上げることも計画。食費と合わせ月5万2500円もの負担を強いられます。

サービス抑制で

症状重度化の危惧

 介護保険では、「現役並み」所得の高齢者などを対象に、自己負担を現在の2割から3割へ引き上げる方針が打ち出されています。

 医療保険と同じにするという理由ですが、1人暮らしで年金収入が年280万円以上の人などが昨年8月から2割負担になったばかり。「介護は医療と違って長期化するため負担が重くなる」と声が上がっています。

 税の集め方、使い方を根本的にあらため、国民の暮らしを支える経済財政に転換することが求められています。