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「臨時的・一時的」原則消える

厚生労働省「派遣法案要綱」

部会がまとめた「建議」より後退部分目立つ

(2月27日付)

 厚生労働省は2月21日、労働者派遣法案要綱を労働政策審議会の部会に示した。労働者派遣制度の根幹に関わる「派遣労働は臨時的・一時的な働き方に位置付ける」との文言が消えているなど、一月末に同部会がまとめた建議より後退が目立つ。本紙20日付に続き、お知らせする。

 法律案要綱は、法案のたたき台となるもの。労働者派遣制度をめぐっては、一部の専門業務を除き最長3年までとする現行の受け入れ期間制限と業務区分を事実上撤廃し、企業が何年でも派遣を使い続けることができるよう規制緩和が狙われている。

派遣法原則を明示しない?

 部会では、新谷信幸労働側委員が「(正社員雇用との置き換えを防ぐため)建議で『派遣労働を臨時的・一時的なものに限る』と確認したのに要綱には一切出てこない」と述べ、要綱に盛り込むよう指摘。厚生労働省側は「臨時的・一時的原則は法律には書かず、運用で示していきたい」と理解を求めた。

 労働者側からは、さらに派遣労働者の受け入れ期間が終了した際の雇用安定措置についても疑問を投げかけた。建議では派遣先での直接雇用が難しい場合に新たな派遣先の紹介などを行うとしていたが、要綱で派遣先への雇用あっせんを優先する考え方がなくなった。新谷委員は「大きな解釈のズレがある。省令で派遣先での雇用を第一優先順位と明記すべきだ」とした。厚生労働省側は「並列の関係と理解している」と説明し、使用者側も同調。座長を務める鎌田耕一東洋大教授がとりなす場面もあった。

使用者側「みなし」不満

 一方、使用者側からも企業が3年を超えて派遣を受け入れる際に義務付けられる、過半数労働組合か労働者代表からの意見の聞き取り期間が「3年に到達する1カ月前まで」となったことに不満が噴出。「経営上の問題で間に合わない場合もあり、その期間を超えたら(ただちに派遣労働者を雇用したとする)みなし規定が適用されるのは問題だ」と語った。

 このほか、派遣労働者にかかわる雇用の定義規定がないことや派遣業の許可基準が「省令委任」になっていること、労働者代表の選出にかかわる指摘が抜け落ちていることなどについて意見が続出。引き続き議論が行われることになった。

 法案要綱は、安倍内閣の派遣固定化や正社員置換えを狙う意図を明確に示すものであり、反対の声を大きく広げる必要がある。連帯し、はねかえそう!