堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

国家公務員の政治活動で判決~すべての国民の言論・表現の自由、公務員の政治的市民的自由の確立へさらにたたかいを強化する

改めて大阪における「政治活動規制条例」等の違法・不当性が明らかに~大阪自治労連・荒田書記長が談話

(12月12日付)

 12月9日、国家公務員の政治活動についての最高裁判決に対して、大阪自治労連荒田書記長が談話を発表しました。

1.12月7日最高裁は国家公務員の政治活動について、一方を無罪に、一方を有罪とする判決を確定させました。

無罪となったのは旧社会保険庁職員(当時)の堀越明男さんで、03年11月に職場と離れた自宅近くで政党のビラ配布を行ったことに対して国家公務員法102条及び人事規則14❘7に違反したとして逮捕・起訴されたものです。地裁で有罪、高裁で逆転無罪の判決を受けていました。今回、千葉勝美裁判長は「勤務時間外である休日に、公務員であることを明らかにせず無言で配布したにとどまる」として高裁判決を支持し、無罪を確定させました。

 一方、厚生労働省課長補佐(当時)の宇治橋眞一さんに対しては「管理職的地位」にあるとして実態を無視した形で有罪を確定させました。

2.大阪市での職員の政治活動を規制する条例や地公法改悪によって国家公務員並みの規制強化を図ろうとする動きがあるもとで、実質的に歯止めをかける判決として評価できるものです。そもそも公務員に対してこれだけ多くの政治活動を規制し、国家公務員には刑事罰を加えるような事例は先進国には見当たらず「国際標準」から大きく遅れていることは明らかです。従って、憲法に基づく「思想信条の自由、表現の自由という基本的人権の核心に強く配慮した判決」(12月8日 毎日新聞社説)であり、公務員であっても政治活動の自由が原則保障されるものとして重要な判決です。堀越さんの無罪確定は、「『猿払事件』の最高裁判例を実質的に変更したといえる」(12月8日 朝日新聞立命館大学大久保史郎教授)内容であり、判決では「政治的中立を損なう恐れが実質的に認められない」として政治活動(ビラ配布)を認めています。

 なお、堀越さんの事件では公安警察が29日間にわたり平日休日を問わず多い時は11名で尾行し盗撮するという人権侵害の違法捜査が行われました。警察は堀越さんのビラ配布の場面を「やった、やった」と言いながら撮影している声が記録されており、こんな違法捜査が国民の貴重な税金を使って行われていたこと自体が容認できるものではありません。

3.最高裁判決として事実上「猿払事件」が変更されたものであり、国公法102条及び地公法36条が時代に合わず、憲法との関係でも見直しを迫られるものです。従って、この判決を踏まえるならば大阪市の「政治活動規制条例」や「労使関係条例」及び府議会に橋下・維新の会が提出している同様の条例の違法・不当性は明らかです。

 大阪自治労連は、大阪市当局が「政治活動規制条例」等を廃止することを要求するとともに引き続き公務員の政治活動の自由、権利の拡大めざして奮闘することを改めて表明します。

猿払事件とは:1967年の衆議院選挙において北海道猿払村の郵便局員社会党(当時)のポスターを掲示するなどして国家公務員法違反に問われた事件。下級審は「罰則適用は表現の自由を保障した憲法に違反する」としたが1974年最高裁が合憲として有罪判決を下した。公務員の政治活動の自由が争われた事件として不当な判決であった。