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2012年度の最低賃金引き上げ目安-全国平均で時間額7円

11都道府県で生活保護下回る~中央最低賃金審議会・目安小委員会

(7月30日付)

 2012年度の地域別最低賃金改定のたたき台となる引き上げ目安が7月25日、示された。全国平均は昨年比1円増の7円。最低賃金額が生活保護水準を下回った11都道府県については、北海道と宮城を除き、原則2年以内に解消するとした。

 前日の24日から、中央最低賃金審議会・目安小委員会が開かれ、公益側は、東京や大阪など水準が上位のAランクが5円で、B~Dランクは各4円を示しました。

 生活保護とのかい離幅解消を前年度から持ち越していた北海道、宮城、神奈川の3道県に加え、新たに青森、埼玉、千葉、東京、京都、大阪、兵庫、広島の8府県で最低賃金額が生活保護を下回りました。かい離幅が最も大きいのが北海道の30円。東京20円、宮城19円、神奈川18円と続きます。

 現行の最低賃金は全国平均で737円。最高額は東京の837円で、最低額は岩手や沖縄、高知の645円となっています。

 最低賃金の引き上げ目安は時間額で平均7円に。744円になっても、政労使が約束した平均1000円達成はいまだ道遠し。地方審議会では思い切った増額が求められます。

水準重視の審議を

 東日本大震災の影響を受け、Aランク4円、B~D各1円に抑制した昨年から引き上げ幅を増やしました。しかし、使用者側が大幅引き上げに強く抵抗するなか、一昨年まで4年続いた2桁引き上げには届きませんでした。先進国中最も低く、フルタイムで働いても生活できない水準をいかに引き上げるか、上げ幅から水準重視へ、改定審議の在り方が問われています。

 水準目標で活用できるのが、2010年に政労使が合意した「早期の全国最低800円、20年までの全国平均1000円」。しかし、経済成長率で名目3%実質2%という前提が必要なため、昨年以降、公益側が大幅引き上げの根拠としにくくなっています。

 審議では、直近の経済状況の好転も踏まえ、昨年を数円上回る目安となりました。政労使合意の「時給1000円」自体、貧困ラインを超えない水準。もはや足踏みは許されません。政労使合意を棚上げにさせない運動が必要です。

 今後、各地方で最低賃金改定審議が本格化します。「超低額目安」にとどまった昨年は、約7割の地方で中央最低賃金審議会の目安額を上回る改定を行いました。各地での取り組みの強化が重要です。

 一方、新たに最低賃金額が生活保護を下回る地方が増えました。気になるのは、保護費を引き下げる議論が政府内で起きていることです。

 生活保護憲法生存権保障の規定を具体化したもの。最低賃金との比較で引き下げを判断すべきものではありません。社会保障を標準労働者の賃金を基準に定めるべきとするILO(国際労働機関)の考え方にも反します。

 貧困解消、格差是正という政権交代大義を、政府は再考すべきです。