堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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パブリックコメントを提出

堺市マスタープラン基本計画(案)」

行財政改革』『区域をいかしたまちづくり』『地方分権』等で意見(1月14日付け)

堺市職員労働組合は「堺市マスタープラン(案)」に対して、去る一二月二八日付でパブリックコメントを提出しました。内容を以下に記載します。

 「本市における将来人口の動向」で、「近い将来にピークを迎え、減少に転じていくことは避けられないものと考えられます。」と述べ、3つのケースで推計を行っている点については、平成12年に策定された「堺市総合計画 堺21世紀・未来デザイン」において、平成22年度の将来人口フレームを85万人に設定したことと比較すれば、現実的で冷静な分析であると考えます。

 行財政改革の推進で、「他市に先がけて、職員数削減や給与制度の見直し、特別職を含む給与カットを実施する一方、アウトソーシングの推進に積極的に取組むなど、経費削減に努め、効率的でスリムな組織体制を構築してきました。」と現状を評価しつつ、「今まで以上に行政のムダを解消することで歳出削減に努め、真に行政が関わるべきサービスに集中するなど、さらなる行財政改革に取り組む必要があります。」と述べています。

 行政需要にあわせて、行政のムダを解消する努力は当然必要です。しかしながら、こうした現状について、「(仮称)行財政改革アクションプログラム及びプログラムの策定」を付議した平成21年11月4日の庁議では、人員面に関して「人員の削減がほぼ限界に来ているという実感」や「周辺業務を多様な雇用形態でまかなうことの弊害」、さらには「職員数の検証や技術の継承、人を育てる観点の必要性」など、現状や問題認識が議論されています。

 これらの意見について、客観的で個別具体的な議論を欠いたまま、今後さらに、「10年間で2割以上の職員削減(行財政改革アクションプログラム)」や「10年間で毎年度15億円の行財政改革の効果額(堺市マスタープラン)」を計画ありきで実施することによって、指摘されている「技術・業務の継承」、「人材育成」といった問題を拡大し、ひいては市民サービスの低下を招くことは自明の理です。

 ましてや、堺市における平成14年度から平成20年度までの累積の行財政改革効果額の内、職員給与見直しや職員数の削減によるものが24%を占めているという実績や、健康・医療・福祉分野での施策の拡充を課題と捉えていることからして、行財政改革効果額をはじき出すための職員数の削減等による行財政改革には反対です。マスタープランを実施し、市民とともに住みよいまちづくりをすすめる推進力は、マンパワーによるところが大きく、先に指摘した点からも計画の見直しを強く求めます。

 さらに、アウトソーシングの推進に積極的に取り組んできたことや、民間活力の導入をすすめることが述べられています。このことに関わって、過度の競争による低入札価格の問題よって、労働者の賃金の低下を招き、公共サービスの品質低下に関する懸念等の新たな弊害も生み出されていることが取り上げられ、公共事業の品質を確保しながら、適切な労働条件や労働環境の確保を通じて地域経済の活性化を図ることを目的に、公契約条例を制定した地方自治体も現れています。したがって、民間活力の導入にあたっては、効率性だけではなく、地域経済の活性化という点も考慮すべきだと考えます。

 区域の特色を活かしたまちづくりの推進で、「より一層区民の幅広い参加を得ながら、区の特色を活かした事業を推進していくことが求められている」、「今後は、ビジョンの実現に向けた具体的な取組を推進していく必要がある」と述べていることについては、地方分権の理念にも合致し賛成です。この方向を促進するために、それを担保する財源と権限をどのように区に移譲し、市民参加のもとでのまちづくりに活かしていくか、地域的にも庁内的にも議論を活性化する具体策を提起することが重要だと考えます。

 地域主権の確立に向けた取り組みの推進で、他政令市や近隣市町村との連携・交流をすすめること自体は有効であると考えますが、安易に「地域主権」を云々する議論には賛成できません。「地域主権」についての意味そのものが不明であり、公式に定義もありません。

 憲法のもとでの「主権」はあくまで国民・住民にあるのであり、昨今の「地域主権」をめぐる議論には、国のナショナルミニマムに対する責任放棄と地方への押し付け、広域的な大規模開発をすすめるための道州制へ世論を誘導する目的があると考えざるを得ません。

 政令市である堺市がすすむべきは、憲法地方自治法を遵守する立場で、国の責任放棄に警鐘を鳴らすとともに、「大阪都構想」などにみられる堺の地方自治を大きく後退させる「堺市解体論」に反対し、地域住民はもとより、近隣市町村とも力をあわせて大阪の地方自治を守り発展させるリーダーとして主体性を発揮することであると考えます。