次代を担う子どもたちのために
教育の本質的・普遍的原理を歪めてはいけない
15日開催された堺市議会最終本会議において、「教育基本条例」「職員基本条例」案は賛成少数で否決されましたが、大阪府・大阪市の動向もにらみ、2月市議会に向けて条例成立を許さない運動を幅広く展開する必要があります。2条例案については、この間さまざまな立場から見解が表明されていますが、12月8日の文教委員会における堺市教委の意見は、教育行政の原点に立ち返り、教育行政の責任とは何かについて、市民に広く発信しています。
【教育行政の本質に言及】
教育委員会の意見書ではまず「教育の本質と政治的中立」について「教育は、次代を担う子どもたちの人格の完成をめざすものであり、この目的を達成するためには、子ども一人ひとりの個性、創造性、自発性が尊重され、人として持っている潜在的能力が十分に発揮できるよう、環境を整え、施策を実現していくことが重要である。」として「教育の政治的中立とは、特定の政治教育を行ってはならないという意味に狭小化してとらえるべきではなく、政治的見解によって、教育環境、教育施策が変遷することにより、教育の本質的・普遍的原理が歪められることのない制度設計を確立することを意味する」と教育行政のもつ本質に言及した上で、教育基本条例案は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律に反するとともに、政治介入を厳に戒める教育基本法の趣旨にも反するものである」としています。
【首長の関与を明確に否定】
また、教育に対する首長の関与については、「教育行政においても首長や首長部局による一般行政との調和を図ることも必要」としながらも、「首長が目標を定め、その目標に基づき教育委員会が指針を作成し、学校がその指針を基に学校目標を定めるといったシステムは、教育の内容や方法についても首長がその権限を有することになり、教育行政の政治的中立を担保している教育委員会制度そのものを否定するものである。」と強く批判しています。
橋下氏や維新の会が強調する「民意の反映」についても、教育行政においては民意の反映を担保する制度が備えられており、また、学校協議員をはじめとして、保護者や地域住民の意向を反映する努力を重ねている実態を示し反論をおこなっています。
【教育基本条例案は是認できない】
意見書は最後に「本条例案は、教育行政における政治的中立性を否定するものであり、教育関連法規に抵触するおそれのある内容が多く含まれており、将来にわたり、本市の子どもたちの教育に望ましい影響を及ぼすものとは考えられず、教育委員会として是認できるものではない」と明確に結論づけています。
今回の堺市教育委員会の見解は教育行政に責任を持つものとして、正当な見解と考えます。しかし、あたりまえのことをあたりまえだと言えなくなりつつある危険な社会情勢のもとでは、今回のような見解を教育委員会が改めて市民発信することの意義は非常に大きいと考えられます。
2月議会に向け、さらに幅広い運動が求められています。