堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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労働者・住民の連帯したたたかいを

人事院・3年連続の「マイナス勧告」

「代償」の意味有さず

人事院は9月30日、国会と内閣に対して、国家公務員の給与の改定を勧告しました。月例給は引下げ、一時金は改定見送りで、平均年間給与△1・5万円(△0・23%)という3年連続の引下げの内容です。人事院は、勧告を労働基本権制約の代償措置としていますが、中身は代償と言えるものではありません。

 人事院による、国家公務員と民間の給与実態調査の結果に基づき、民間給与との比較を行い、月例給は、国家公務員給与が民間給与を899円(0・23%)上回っていました。一時金については、民間事業所で3・99月(3・987月)分に相当し、国家公務員の年間平均支給月数(3・95月)が民間事業所を0・04月(0・037月)分下回っていました。

 今年は、東日本大震災の影響で、民間給与実態調査(民調)は2か月遅れで、岩手県宮城県及び福島県を除いて実施されました。

 その上で人事院は、民間給与との較差に基づく給与改定を以下のとおり説明しています。

 まず、月例給については、「東北3県のデータが得られていない分についても賃金水準が同程度の他の地域のデータによってカバーされている」「平成20年から平成22年までで、東北3県のデータを除いた官民比較の結果への影響を算出したところ、両者の大小関係は一定しておらず、その額も大きくない」として、月例給の引下げを行うことが適切と結論付けています。

 その一方で、一時金については、制度の安定性と民間の変動の確実な反映の観点から、二捨三入方式による0・05月ごとの区切りにより小数第2位までの支給割合を定める方式をとっており、これによると、民間が3・98月(3・975月)以上であれば、公務の支給月数を現行の3・95月から4・00月に引き上げることになります。

 ところが、「東北3県の民間データがないことが全国集計に直接影響」し、「過去3年間の民調結果で算出すると、東北3県を除いた支給割合は、全国の支給割合より0・004月(20・22年)、0・007月(21年)月それぞれ高くなっている」などとして、改定を見送っています。

 他にも、50歳台の官民の給与差への対応のなかで、「50歳台において、官民の給与差が相当程度存在している」として、その要因の一つである給与構造改革における経過措置額を段階的に廃止するとしていますが、何の調査結果をもって給与差が存在しているのか、一切明らかにされていません。

 このように、中立・公正な、第三者機関としての勧告とは言い難いものです。

 何より、政府が、被災者の生活支援に充てる職員が不足し全国の自治体が人員派遣で支える現状に配慮して、来年度の地方公務員の削減要請を休止する方針を固めたこと(9月30日日経)に示されているとおり、東日本大震災からの復旧・復興に全力で奮闘を続ける公務労働者に水を差し、「社会保障・税の一体改革」などの国民負担増への「露払い」の役目を担った内容です。

 今後、人事委員会勧告等に向けて、内需拡大による経済の活性化という国民的要求をかかげ、幅広い労働者・住民との共同のたたかいをすすめましょう。