労働組合と地域団体が共闘(4月14日付)
全労連は、3月21日に、全米港湾労組・チームスターズ労組元役員のピーター・オルニー氏を招き、「トランプ政権下における米国労働運動の展望」と題して報告をうけました。
これは、組合員・労働者が主体的に声を上げることのできる全労連運動にしていくため、米国労働運動の実践を労組のリーダーを招いて学ぼうと開催されたものです。
背景には差別と分断
オルニー氏は、トランプ大統領の2期目の当選の背景について、「『ファシストの怪物』とも言えるトランプがどのように選ばれたか。それは、人種差別主義であり、性差別主義であり、移民に対する嫌悪をベースにしている。実際に彼は雄弁にそのことを語っていた。その基礎に、経済の新自由主義的政策に対する人々の不満が強烈にある」と指摘しました。
経営者との格差拡大、
不満の矛先を移民に
そして、労働者の平均的な給与とCEO(最高経営責任者)の報酬との格差がかつては1対25だったのが、今では1対300にも広がったことや、民間部門の労組の組織率が6%にとどまり、「大企業の強欲」に抵抗できる勢力が不足していることを挙げ、「社会が生み出す富を公正に配分させることができていない。そのことにより貧困や生活悪化が進んでいる。トランプはこの状態を利用し、(その矛先を)億万長者にではなく、移民の人たちになすりつけている」との見方を示しました。
労組との共闘・連携
2期目のトランプ政権発足後、労働組合や雇用への攻撃が矢継ぎ早に行われています。オルニー氏は、連邦政府職員への大量解雇に対する抵抗運動が組織されつつあることや、空港セキュリティー部門の労働者への大量解雇通告に対し航空会社の労組による抗議のストが呼びかけられていること、移民の保護や公民権、市民権の擁護に取り組む地域の団体と労働組合との共闘や連携が深まり、保守的とされる建設関連の労組が移民排斥に抗議の声をあげていることーなど、さまざまな職場や地域で抗議行動が組織されつつあり、保守層からもトランプ政権の暴走に対する異議が唱えられ始めていると語りました。
そして、さまざまな事業を傘下に収める巨大企業であり、トランプ政権の強い後ろ盾となっている「アマゾン」に言及し、「特に大企業の労働者を組織することが必要。労働組合としてだけではなく、地域コミュニティーの市民団体と一緒に組織化を進めたい」と抱負を語りました。