2月12日付
労働基準監督官やハローワーク職員でつくる全労働省労働組合は1月21日、「労働基準関係法制研究会報告書」に対する見解をまとめた。同法制の最低規制に「さらなる『抜け穴』を認めようとする動き」として注意を促している。
見解は報告書の各論点に検討を加えている。報告書が強調する「労使の合意に基づいて『法定基準を調整・代替』する仕組み」を「デロゲーション」(最低規制の逸脱)のことと説明。この整備を求める報告書の構想は、デロゲーションを職場労使が自由に決められるよう提案した、日本経団連の提言(昨年1月)と「重なり合うところが多い」とし、「賛同できない」と述べている。
この構想の効果について、「一定の手続き(労使の合意など)のもと、現行の最低基準にさらなる『抜け穴』を認めようとする動きと見ざるを得ない」と警告した。
報告書が労働基準関係法制を「複雑」と難じ、「シンプル」にするよう求めている点については「規制の緩和・廃止にほかならず、労働者の健康破壊などのリスク増大につながる」との懸念を示した。
見解は、時間外・休日労働の上限規制を「過労死ラインを少なくとも20時間程度(月単位)下回る時間」とすることや、勤務間インターバル制度の一律の義務化などの規制強化を提案。テレワークへの「みなし労働時間制」新設については「労働時間の算定管理を要しないとすることに必要性・合理性は乏しい」と一蹴する。
今後の検討方向として「労働基準関係法制の『改革』に着手するのであれば、労働者が直面する困難や職場に横たわる矛盾を丁寧に明らかにすることから始めるべきではないか」と再考を促している。