カジノ問題を考える大阪ネットワークが抗議の声明を発表(12月22日付)
12月15日、国会の会期末ぎりぎりに提案されたカジノ賭博合法化法が成立しました。カジノ問題を考える大阪ネットワーク(代表 阪南大学桜田 照雄教授)の発表した声明(要旨)を掲載します。
カジノ賭博合法化法(以下、「本法」という。)が、本日成立した。私たちは、本法の成立に満身の怒りを込め、きびしく抗議する。
私たちは、繰り返し、カジノ賭博合法化が、ギャンブル依存症の発生、教育、風俗環境の悪化、多重債務問題再燃、暴力団の暗躍、マネーロンダリング、犯罪の助長への懸念などの害悪を招き、そして、その害悪を抑止する有効な手立てを講じることができないこと、また、カジノ賭博場の設置がその地域の繁栄を約束せず、逆に地域経済社会の健全な発展を阻害する危険性を指摘し、本法案は廃案にすべしと訴え続けてきた。
新聞各紙も一致して大きな懸念を示すに至った。にもかかわらず、国会ではほんのわずかな審議だけで、国民一般が抱いているカジノ賭博合法化に対するまっとうな疑問に対して、法案の提案者らが対策の具体的内容を何ら明らかにしようとしないという不誠実な態度をつづけた。終盤において中身の伴わない依存症対策の修正をちらつかせたうえで、採決の強行にまで至ったのは許しがたい暴挙といわねばならない。
本法は、憲法13条「公共の福祉」に反する違憲立法である。賭博と公共の福祉との関連に関しては、今国会では一言たりとも議論にはならなかった。昨年、安倍内閣が立憲主義をないがしろにして安保法制を成立させたのと同様、今回の賭博解禁法案の国会通過は、具体的な案件について立憲主義をないがしろにする行為を、国会議員が議員立法という形で、自ら行ったといわなければならない。
憲法は「公共の福祉に反しない」かぎり営業の自由を保障する。他方、最高裁の判断は,「賭博が『公共の福祉に反する』のは明らか」としている。
推進派がいう「賭博をもって経済成長の糧」とし、「地域経済振興の起爆剤」とする――立憲主義破壊のこうした思惑は、いつぞや私たちの日常生活を破壊していくことに私たちは警鐘を乱打する必要がある。
とりわけ「万博でカジノ」誘致を企図する大阪府市の構想は、私たちの地域経済を歪め財政を圧迫し、そして日常生活の破壊につながるものである。
私たちは本法が成立したとしてもこれまで以上に大阪にカジノを誘致させない運動を府民と地域住民の方々とともに力強くとりくみつつ、本法の廃止を求めて、より一層運動の輪を拡げてゆく決意である。