堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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はたらくものの権利で「市場主義」とたたかう

労働者の団結権① 堺総合法律事務所 弁護士・村田浩治

12月7日付

ストライキはなぜ犯罪にならないの!?

 ある日の法律相談のこと。ある企業の社長がやってきてこう言いました。

 「うちの会社に労働組合ができて、ストライキだ!と言って仕事をしません。仕入れができず、得意先からは取り引きを辞める!と言われ、大損害です。損害賠償と刑事告訴をしたい」・・・

 この社長、いままで裁判や告訴をよくやっているだけあって、法律をよく知っています。たしかに、ストライキ労働組合法がなければ「債務不履行」にあたります(※1)から、ストライキをした人たちは会社が被った損害を賠償する義務があります。また、ストライキの一環として職場で集会をすることが業務の妨げになれば、「威力業務妨害罪」(※2)として処罰されることになります。しかし、労働組合が正式な手続きをとってストライキをすれば、民事も刑事も責任を問われません。

社長は「労働組合だけが、世間に迷惑をかけても責任取らなくていいのはおかしいのではないか!」と納得できないようです。では、なぜ労働組合団結権だけこのような保護を受けられるのでしょうか?

※1.労使は労務提供義務と賃金支払い義務を相互に負っていますから、労務提供義務違反による損害があれば労働者に賠償責任が発生します。

※2.たとえば、組合活動でなく多人数で威勢をあげてデモをして会社の仕事を妨害すれば、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられる「威力業務妨害罪」にあたります。