「ええっ!いったん上げて下げるんかい」の声
(8月11日付)
7日に行なわれた人事院勧告についてのポイントをお伝えします。わずかながら7年ぶりの引上げであったものの、その内容は中央省庁優遇・地方切捨てが明白なものとなっています。
今年度の人事院勧告の内容は官民較差(1090円、0・27%)に基づく月例給の改定及び一時金0・15月分(14年度は年末一時金を、15年度以降は夏・冬各々0・075月分)の引上げです。
○物価上昇に追いつかない月例給引上げ
月例給については、若年層を中心に、かなり広範囲の号給について引き上げ。しかし、年齢が上がるにつれてその幅は圧縮されています。例えば行政職(一)において大学新卒初任給改定額は2千円(1・1%)ですが、高位号給では千円を割ることも多く、3級以上の最高号給付近では賃金改定はありません。
初任給を中心とする若年層の給与引上げは自治労連等の公務労組が強く求めてきたことであり、今回の改定は職場・地域からの一定の運動の成果です。
しかし、「アベノミクス」によるインフレ誘導や4月からの消費増税のため、今年6月の消費者物価指数は前年比3・6%増で、わずか0・27%の賃上げでは到底補えず、実質では賃下げ状況にあると言わざるを得ません。
給与制度総合的見直し
また、今回は15年4月実施の「給与制度の総合的見直し」が同時に勧告されています。
○地域間配分見直し
具体的には「地域間の給与配分の見直し」として、①民間賃金の低い地域の官民給与差を踏まえ俸給水準を全国一律平均2%引下げ、②俸給表水準引下げに伴い、賃金構造基本統計調査に基づき地域手当支給割合見直しを行っています。
ただし地域手当については引上げの大部分が東京特別区(18→20%)等の都心部に集中しており、いわゆる霞ヶ関に勤める中央省庁の官僚と地方の国家公務員の地域手当差は最大20%となるなど、中央優遇・地方切捨て勧告にほかなりません。
なお、実施に伴う激変緩和措置として3年間は現給保障がされるとしています。
○世代間配分見直し
「世代間の給与配分の見直し」として、50歳代後半層を最大4%引き下げ、若年層の引下げ幅を圧縮しています。
行政職(一)を例にとると6級(堺市では課長級)の50代後半層を中心に最大4%、5級(同課長補佐級)・7級でもやはり50代後半層を中心に最大3%引き下げ。他の級も同様に最大2・5%の引下げ改定です。
国の給料表に準じた給与体系の地方自治体や社会福祉法人も多く、地方公務員や地域民間企業にまで波及することは必至です。
○人事委員会へ要請を
堺市は、独自の人事委員会があるため直ちにこの勧告が適用される訳ではありませんが、人事院勧告では地域手当は現行の10%のまま据え置かれており、通常、来月にも行われる堺市人事委員会勧告への影響も懸念されます。
国出先機関設置市の岸和田、泉大津、泉佐野、和泉、富田林も地域手当が6%に据え置きのままで、各自治体が国準拠で給料表を改悪すれば特に50歳代後半層は「給料上がらず下がるだけ」となり、民間企業を含め南大阪地域賃金相場引下げにつながりかねません。
今後、人事委員会に対し、堺市職員の賃金労働条件の改善、やる気の向上につながる勧告を求めていきます。職場の声を届けていきましょう。