業績評価 改善は現実問題として難しい
(8月9日付)
大企業の課題
賃金決定において業績・成果主義給を用いる場合、労働者の業績・成果を一人ひとり評価するために業績評価制度の導入が必要ですが、導入企業(うち千人以上)では、21・2%が「うまくいっている」とし、52・3%が「うまくいっているが、一部手直しが必要」、20・9%が「改善すべき点がかなりある」と回答(10年)しています。
①業績評価制度の評価側の課題として、「部門間の評価基準の調整が難しい」「評価者の研修・教育が十分にできない」「評価に手間や時間がかかる」が挙げられています。
また、②業績評価制度の評価によって生じる問題点(図表参照)は「評価結果に対する本人の納得が得られない」「評価システムに対して労働者の納得が得られない」が企業規模が大きくなるにつれて多くなっています。
この調査結果を受けて白書は、評価結果や評価システムに対する納得感を得るため、「評価基準を明確化するとともに評価過程の情報を開示することなども求められる」「評価によってかえって勤労意欲を損ねることのないよう、本人に対する丁寧な説明、評価を改善するための今後の取組みなどを面談などによって明示する必要もあろう」と分析しています。
しかしその上で、すでに「部門間の評価基準の調整が難しい」など評価側の課題が、特に大企業で意識されており、今後さらなる運用の改善を図ることは現実問題として難しいため、賃金制度の新たな改善の方向を模索していく可能性が高いとしています。