経過措置額の見直しなど
労使間の経過を踏まえた対応を今後追及
堺市人事委員会は公民較差に基づく給料表の引き上げ改定だけではなく、給与構造改革に伴う経過措置額の見直しについて、平成24年4月1日から実施と、踏み込んで勧告。これらのことについて、1日、人事委員会事務局長出席のもと、人事委員会の考え方をただしました。
人事院によると、給与構造改革に伴う経過措置の対象者数は、本年4月1日現在、50歳台後半層の職員を中心に在職者の2割弱(行政職俸給表(一))が受給している状況にあると報告しています。
一方、堺市の状況について、人事委員会によると対象者数・額ともに国を上回っています。
こうした実態を踏まえ、人事委員会の考え方を質しました。主な内容を報告します。
Q1 給料表の引上げ改定にあたって、「職員の士気を確保する観点から」と述べていることについて、経 過措置の対象者、とりわけ最高号給者の士気は、どう考えているのか。
A1 最高号給者の士気も確保する必要がある。
Q2 人事委員会の調査の対象から除外となっている、現業職員、企業職員については、勧告の対象ではな いということでよいか。
A2 勧告の対象ではなく、勧告が直接影響するものでない。労使で十分協議願いたい。
Q3 「平成18年の給与構造改革に伴う経過措置額の見直し」とされているが、給与構造改革給料表から 平成21年4月1日に福祉職給料表に切り替えた保育士の経過措置額はどう考えるのか。
A3 福祉職給料表導入に伴う見直しではない。
Q4 経過措置額は、平成18年2月に「新発令給料額が旧給料額を上回るまでの間、現給保障したい」と 当局より回答され、導入されたもので、期限を定めた激変緩和ではない。一定期間経過したから見直す というのは、どう理解すればよいのか。
あくまでも比較は公務と民間の給与総額に基づくものである。今年で言えば、市職員給与が民間給与 を989円下回っているということ。経過措置額の見直しは公民較差以外の要素を先取りしたものでは ないか。
A4 給与構造改革は国と同じ趣旨で導入された。このまま推移すると10年先でも相当経過措置の対象者 が残ることになる。現下の経済情勢は右肩上がりではなく、職員間に不均衡を残したままなのが果たし て本来の姿かと考えると、給与比較は全体で比較するものであるが、経過措置対象者とそうではない職 員との間の均衡を図るべきではないかとなった。今すぐやめるべきとは言っていない。堺市の状況等あ るので、斟酌して決めてもらいたい。
Q5 同じ政令市でも職務分類表は様々異なっており、国とほぼ同一の職務分類表になっているのが堺市。 この点について、もっと調査・研究すべきではないか。
A5 他市の動向をみて考えていきたい。
職員間の不均衡と言った場合には、必ず、上げる・下げるの二方向からの是正が考えられますが、人事委員会の議論では、公民較差の原資をどう配分するかという枠があるため、自ずと限界があります。
ただ、こうしたことが生じるのは、導入時からわかっていたことで、それでもなお国と同一の構造改革給料表を導入したのは当局です。これから始まる交渉では、そうした当局の責任を追及していく必要があります。