高齢期雇用(定年延長)に係る基本的な考え方と当面のたたかい
短時間勤務制度、困難職種の取扱い、役職定年制
【定年の一律延長でなく、多様な働き方の保障を】
集中改革プランなどによる激しい人員削減により、職場の実態は個人への労働強化が重く、定年前退職の増加にもつながっています。そのため雇用形態の面と勤務形態の両面での多様な働き方の保障を求めることが必要です。
人事院の「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」最終報告(09年7月)では、13年度以降、段階的に定年年齢を引き上げる間については、引上げ後の定年年齢以降65歳までの間、定年後の再任用制度を存置する必要があるとされ、同制度と定年延長とは両立ではありません。
【短時間勤務制度や高齢者雇用の特別措置の検討】
高齢期の働き方について「一律的ではなく、健康上の理由や職員の希望する人生設計上の理由に基づく多様な働き方を可能とする」として短時間勤務の導入を検討しています。現在と同じ職場や職種で、働き続けることが困難な場合の仕事の確保や、これまでと異なる仕事をしたいという意欲などを保障する制度が求められます。
したがって、各自治体でも実態に適した高齢者の仕事量の調整や職域の確保が必要となっており、自治体がこれまでに人員削減や外部委託した職場も検討されるべきです。
短時間勤務制度については、本人の希望を最優先すること、短時間勤務からフルタイム勤務への再転換を可能とさせることが必要です。
【困難職種の取扱い】
人事院は加齢により就労が厳しくなる職務(航空管制官、刑務官、警察官など)に従事する職員の取扱いについて、65歳より前での特例的な定年年齢を定めることなどを考えています。
どの職種が『困難職種』にあたるかは、職場での論議と全体の合意が必要ですが、消防士・保育士・看護師・重労働の現業職などが考えられます。
困難職種について、①年金支給の前倒し、②退職手当の加算などを前提に、③職種を限定して特例定年制の要求や他職種や短時間勤務などの選択制も保障させることが必要です。
【役職定年制】
10年12月の「高齢期雇用問題に関する検討状況の整理」では、「60歳以降の給与が相当程度引き下げられる中で、管理職にその職責を十全に発揮させる」ためには役職定年制導入が必要として、その対象は「本省課長以上及び管区機関等のこれらに相当する職員を対象にすることが考えられる」としています。
一律年齢によって、職員の合意に基づかず且つ一方的に降任(不利益変更)させる制度で、年齢差別とも言えるものです。
人事構成はそれぞれの自治体によって異なり、原則的には制度は導入すべきではありません。民間でも、こうした役職定年制度を導入しているところは少数です。