年金運用の損失ってなんだ(7月21日付)
5年ぶり年金運用赤字
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2015年度の決算で5兆数千億円にのぼる運用損失を出したことが、GPIFが7月1日までに厚生労働省に提出した財務諸表で分かりました。
赤字は、10年度以来5年ぶり。安倍政権が、株価つり上げをねらって株式運用比率を倍増させ、巨額損失を招いた責任が問われます。
安倍政権は14年秋から、12%だった国内株式の比率を25%に引き上げ、外国株式と合わせて株式運用を50%に倍増させました。
その結果、15年7―9月期に、四半期ベースで過去最大となる7兆8899億円の損失を計上。16年1―3月期も大幅損失を出したとみられていました。
アベノミクスを買い支え
安倍首相はロンドンの金融街で14年5月、資産残高約130兆円で世界最大の機関投資家である年金積立金の株式運用の拡大を宣言。積立金の株式運用枠を一気に20兆円分も拡大しました。
そもそも年金積立金は国民が払った保険料です。老後の年金保障が目的であり、安定運用が大原則です。高リスク運用で損失が出れば、年金削減や保険料引き上げを招きます。
この間の国会質問で、公的資金による株式運用は、株価の下落局面で年金積立金が「買い支え」のために行なわれていることが分かりました。買い支えにより、投機筋や銀行・証券が巨額の利益を手にする一方、一般投資家や労働者は苦しめられます。そのため、金融大国の米国ですら公的年金の積立金で株を買うことはしていません。
国民には「年金財政が苦しい」といって年金支給削減や保険料引上げを押しつけながら、「アベノミクス」維持のために国民の財産と日本経済を危機にさらすことなど許されません。