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橋下大阪市長 市民施策548億円削減試案

市民生活切り捨て(4月11日付け)

 4月5日、橋下大阪市長が発足させた「改革プロジェクトチーム」が「施策・事業の見直し」の試案を明らかにしました。

 今回の事業見直しは、大阪市を解体し、現在の24区を8~9の特別自治区に再編する「大阪都」への移行を前提としており、市民施策に軒並み大ナタを振るうものとなっています。

 試案では、1億円以上の443施策・事業を見直しの対象としていますが、今後10年間の試算では、約500億円の収支不足が見込まれることに対してのものです。

 これらの削減効果では、12年度37.8億円、13年度222.5億円、14年度287.7億円と見込み、3年間で548億円もの削減が行われます。

 対象の事業は、区民ホールや地域スポーツセンター、男女共同参画センター(クレオ大阪)、障がい者スポーツセンターなど、区民利用施設は廃止・民間売却としており、受益と負担の見直しとしては、敬老パスの有料化、国民健康保険料引き上げを打ち出す一方、一人暮らしの高齢者への配食サービス補助廃止、上下水道料金の福祉減免廃止、保育料引き上げ、出産一時金の引き下げと、暮らしを直撃する施策の切り捨てが目白押しです。

 更に、老人憩いの家、学童保育、民間社会福祉施設職員の給与改善費、大阪フィルハーモニー文楽協会などへの運営補助金の廃止・削減を盛り込んでいます。

【廃止の市音楽団員配転認めず、分限免職

 13年度に廃止とされた市音楽団の音楽士36人の処遇について、橋下大阪市長は、「単純に事務職に配置転換するのは、これからの時代、通用しない。仕事がないなら、分限(免職)だ。分限(免職)になる前に自分たちでお客さんを探し、飯を食っていけばいい」と述べ、配置転換を認めない意向を示しました。

 民間では、分限免職にあたる整理解雇を行う場合、配置転換など、解雇回避努力を満たす必要がありますが、この措置は、民間ではあり得ないと言えます。

【市民生活を切り捨て、強引に大阪市解体を進める橋下改革】

 橋下大阪市長は、住民サービスについて、「税収もどんどん減ってきているのに、もの凄い贅沢なままきている」と述べていますが、大阪維新の会は、昨年の市長選で、「大阪都構想が実現すれば、市民の生活は良くなる」、「高齢者・障がい者福祉を充実させる」、「24区、24色の鮮やかな大阪市に変える」と公約していました。

 一方で、「重点投資する」と繰り返している若い世代にも、学童保育への補助金廃止、保育所保育料の値上げ、新婚家賃補助制度の廃止など、子育て支援どころか、大きな負担増です。

 また、1区1館ある区民センター・屋内プールを市内でそれぞれ、9館にすることなどは、大阪市を8~9の特別自治区に分ける「大阪都」を前提にしたものです。

 これは、無理やりにでも大阪市解体の道を突き進めるためのものであり、公約に照らしても、民意に沿ったものとは言えません。

【実際には、大阪市の実質収支は22年連続黒字】

 今回の事業見直しに関して、橋下大阪市長は、「ここ10年は、約500億円の通常収支不足が見込まれる」と言っていますが、これは税収だけを収入と見た通常収支を基準としており、これだけでは財政状況を適切に把握できません。

 橋下大阪市長自身も、「500億円の税収不足」とは言うものの、決して、「500億円の赤字」とは言っていません。

 実際には、税収以外の事業収入、不動産売却益、株式配当などを含めた実質収支は、平成元年から22年度まで連続して黒字です。

 問題なのは、必要以上に財政悪化を強調し、市民に犠牲と負担を強いようとしてきていることです。

 橋下大阪市長は、以前、選挙結果について、「ある種の白紙委任」と発言していましたが、公約を無視し、民意を誘導する独裁の本質が浮き彫りとなってきています。