堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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会計検査院「必ずしも適切でない」

なぜ行政が歪められたのか

安倍首相は丁寧に説明せよ(12月7日付)

学校法人「森友学園」への国有地の8億円値引き売却について、会計検査院は、「値引きの根拠不十分」とする報告書を提出しました。森友疑惑は深まるばかりです。

「必ずしも適切でない」

 国などの会計の妥当性を調べる独立機関である会計検査院参議院の要請で、売却交渉を担当した財務省近畿財務局や、国有地を管理していた国交省大阪航空局の行政文書などを調査し、11月22日に報告書を公表しました。

 報告書の最大の注目点は、国が国有地を8億円値引きし、森友側に売却したことが、適正だったか否かです。

 国は問題の国有地(豊中市、8770㎡)につき、鑑定価格9億5千万円から、地下3mより深いところから出たゴミ1万9千トンの撤去費用として8億円余を値引き。1億3千万円で売却しました。

 しかし、会計監査院は報告書で、ゴミの量について、国の算定を3割~7割下回る6196~1万3927トンと試算。撤去の必要なゴミの深さ、混入率、処理単価についても疑問を呈しました。

 ―ゴミがある深さについては「十分な根拠が確認できない」。

 ―混入率については、「14カ所を算定から除外していることに合理性はなく…根拠が確認できない」。

 ―処理単価について、「どのような条件下で提示された単価であるのかなどを示す資料はなく、確認することができなかった」。

 そして、「国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた」としました。

算定も手続きも異例

 会計検査院の指摘に対して、近畿財務局で鑑定官を務めた男性は、「1億3千万円で売ろうという結論ありきで、無理な処理を重ねたというのが実際のところだろう」と語ります。

 会計検査院の報告書は、売却額の決定に関わる手続きでも疑問を呈しました。

 近畿財務局から土地価格の鑑定依頼を受けた不動産鑑定士は、「鑑定額」の9億5千万円とともに、近畿財務局が示した撤去費用を引いた1億3千万円を「意見価格」として鑑定書に記し、近畿財務局に提出しました。

 それを受け取った近畿財務局は、本来、価格決定を担当する統括国有財産管理官が内容を審査、評価調書を作成し「予定価格」を決定するのがルールです。

 しかし森友問題のケースでは統括官が調書作成を「失念した」と検査院に説明。その結果1億3千万円がそのまま売却額とされました。

 報告書は、これらの一連の事実を「評価事務への適正を欠く」と厳しく指摘。

「『失念した』は不自然であり、何らかの指示があって調書を作らなかった可能性もある」とまで指摘しました。

丁寧に説明せよ

 この間、安倍首相は国有地値引きの妥当性について「調べるのは会計検査院」と繰り返してきました。しかし、会計検査院の「必ずしも適切とは認められない」との報告について、行政府の長として認識を問われた安倍首相は、再発防止は口にするものの、「各省庁が適切に判断した」と責任転嫁。丁寧な説明には背を向けました。

 国会質疑では、国有地の“3mより深いところから新たなゴミが出た”との値引きの「ストーリー」を、国側が学園側に提案した「口裏合わせ」も判明。

 なぜ行政が歪められたのか、忖度なのか、首相や夫人の関与があったのか、疑惑は深まるばかり。当事者の証人喚問、徹底究明を求める世論を高めていきましょう。