堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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高齢者賃金抑制の給与法案を衆議院で審議

賃下げ法・高齢期雇用・公務員制度改革など

~生活守るたたかい重要

(6月3日付)

 55歳を超える職員の事実上の昇給停止を内容とした国家公務員一般職給与法「改正」法案は、30日午前の衆議院総務委員会で審議・採決され、共産党をのぞく与野党の賛成多数で採択されました。

 法案は、民主党政権では実施が見送られ、自公が政権復帰するもと一転して実施が閣議決定された12年人事院勧告にもとづくもので、3月に国会提出されました。

「賃金下げても職員の士気に影響しない」と新藤総務大臣

 衆議院総務委員会では、奥野総一郎(民主)、上西小百合東国原英夫(維新)、佐藤正夫(みんな)、塩川鉄也(共産)の各議員が質問に立ち、給与法案にとどまらず、「賃下げ法」や高齢期雇用、さらには、公務員制度改革にわたって幅広い議論がありました。

 民間との賃金格差を口実にして、55歳後半のベテラン職員をねらいうちにした給与法案にかかわって、民主党の奥野議員は、「民主党政権下では、世代間の給与配分適正化や雇用と年金の接続の観点から幅広く検討する必要があることから、12年勧告実施を見送った。政権が変わったからと言って、わずか2か月で方針を変えたのは、行政の継続性から問題だ」と追及すると、新藤義孝総務大臣は、「人事院勧告尊重という立場から、政府として検討したものだ」とのべたうえ、「給与を減額するものではなく、ただちに職員の生活設計には影響しない」と答弁しました。

 また、「昇給抑制によって、公務員の士気やモラルが低下するのではないのか」との維新・東国原議員の質問に対して新藤大臣は、「公務員の役割は、法律や制度の枠組みのなかで着実に職務をこなすため、全力を尽くすことだ。給与が下がっても、公務員の士気には関係しない」などと強弁しました。

 さらに、共産党の塩川議員は、「昇給区分C(良好)からE(良好でない)までが昇給ゼロになる。懲戒処分にあたるような評価の職員と『良好』の評価の職員が同じように昇給しなくなれば、士気は低下するのは当然だ。評価制度上も問題がある」と追及したことに対して、新藤大臣は「士気やモラルは、給与だけで決まるものではない。また、『特に良好』以上の人事評価ならば昇給する。最低限のものは残している」と答弁しました。

 新藤大臣のこれらの答弁は、マイナス勧告や「賃下げ法」、さらには、高齢者に対する連年にわたる賃金抑制が、青年層をふくめて職員の働きがいを奪っている職場の実態にはいっさい目をむけないものであり、使用者として断じて認められない発言です。

「賃下げ法」延長の可能性にも言及した新藤総務大臣

 独立行政法人職員や地方公務員にまで影響をひろげている「賃下げ法」にかかわっても政府への質問が出され、文部科学省の審議官は、「法人の自主的・自律的な労使関係のもとで交渉により給与が決定されている。政府としては、あくまでも国に準じた措置を要請するという立場だ」という言い逃れの答弁を繰り返しました。

 また、新藤大臣は「給与削減はあくまで臨時の措置だが、来年以降は、財政再建や経済対策の観点から総合的に判断したい。しっかり議論したい」とし、財政状況の悪化などを口実にした「賃下げ法」延長の可能性も示唆した点は重大です。

 このように、政府の強制によって「賃下げ法」の影響が公務職場全体にひろがり、民間賃金や地域経済に影響をあたえ、さらには、総務大臣が「賃下げ法」延長の可能性までも言及するなかで、あらためて「賃下げ法」廃止を迫るたたかいが重要になっています。