実効ある働き方改革には
人員体制の確保こそ必要(10月10日付)
「職員の給与等に関する報告及び勧告」では、働き方改革についても触れられていますが、実効性確保に向けては、時間外勤務命令の上限規制や、業務に見合った人員体制の確保が不可欠です。
要員管理の一方で
「職員の給与等に関する報告及び勧告」では、各給料表の在級者割合が示されています。
現在の行政職給料表は、2015年度から運用されています。15年度と18年度の在級者割合を比較したのが下表です。
平均年齢は15年度が41・9歳、今年度は41・2歳と、若返りが進みました。各級の割合では、職員採用が継続的に行われたため、2級が約4%増加。一方、5級課長補佐級は2・1%、6級以上管理職は1・3%減少しました。
この間当局は、「少数精鋭の組織をつくる」として、常勤職員数を減らすとともに、役職者割合も減らす要員管理方針を推進。係長級昇任試験の合格率を2次試験で約3割とし、スタッフ職ポストを削減するとともに、組織の統廃合、役職ポストの見直しをすすめてきました。
この結果、当局は「方針に示している正規職員数と再任用職員数の内訳は異なるものの、方針は達成できる見込み」(6月26日人員体制交渉)と述べています。
一方、職場では業務に見合った人員体制が確保されないもと、「技術継承が不安」「イベントで休日出勤続き」「災害対応で日常業務がストップ」「市民要望に応える体制が不十分」「適正な事務執行に向けたチェック機能がはたらくのか」「法改正に追われている」といった実態があります。
人員体制確保こそ
人事委員会報告では、「働き方改革と勤務環境の整備」の章で、「堺市職員『働き方改革』プラン(17年5月~)により、様々な取組がされ、年間360時間超時間外勤務者数がH28年度411人→H29年度279人と、成果がみられる」としていますが、今後の実効ある取組については、職員及び所属長への啓発や労働時間の適正管理を述べるにとどまり、人員体制への言及はきわめて不十分です。
なお報告では、人事院勧告で国家公務員の超過勤務命令の上限規制を原則1月45時間、1年360時間とする人事院規則改正が行われたこと、労働基準法別表第一に掲げる号別に該当する職場(三六協定締結職場)には来年度から時間外労働時間の上限規制が適用されることが触れられています。
実効ある働き方改革の実現に向けては、こうした時間外勤務命令の上限規制の実施とともに、業務に見合った人員体制の確保が不可欠です。