八内刃物製作所・八内剛志さん(6月4日付)
14回目となる「さかい未来づくりサロン」が5月18日(金)に行われ、八内刃物製作所の三代目・八内剛志さんをゲストスピーカーにお迎えし、「日本の技術を世界に向けて~八内刃物製作所の挑戦」と題したお話とディスカッションで盛り上がりました。
迷ったら苦しい道
堺の伝統産業である刃物産業を家業とする家に生まれた八内さんは、16年間勤めた南海電鉄を辞めて八内刃物製作所に入りました。 使命感と現実の厳しさの間で悩まれましたが「迷ったときは苦しい道を選べ」という言葉にもあるように、人生の大きな決断でした。
八内さんのお話は、堺のまちとともに発展した堺刃物の歴史をひもときながらスタート。
問屋、鍛冶屋、刃付け屋による「分業制」になっている堺刃物業界の仕組みによって、高い技術力やノウハウの組み合わせによる高品質で付加価値の高い製品をつくることができる、といいます。
空前の包丁ブーム
その結果、全国の料理人の9割が堺の包丁を使用、生産の半分は海外に輸出されるなど、生産が追い付かないほどのブームとなる一方、若い世代が次のことを考えなければ業界の発展はない、との危機感のもと、デザイナーと相談し「コンパクト和包丁」を開発、多くが海外で取引されています。また、海外からの観光客も気軽に飛び込んで見学できる工房も開設しました。
厳しい後継者問題
八内さんは、「後継者問題」という大きな課題にもふれ、「『人を残すのが一流』というが、なかなか成功事例がなく難しい。忙しい中で教えなければならない上、一人前になるまで10~15年もかかる。育てた人が辞めてしまったらすべて無駄になる」と述べられました。また、後継者を育成する上で、「賛否両論あるが、型にはまらず必要なものは残し、不必要なものはなくす」という合理的な方法の必要性にも言及されました。
また、後半のディスカッションや場所を替えての交流会でもさらに盛り上がりました。
立場を越えた交流
第1回の開催から5年目となる「さかい未来づくりサロン」は、堺市職労が主催し、住民、民間、行政等の立場を越えて「堺の未来をともにつくっていく」ことを目的に「地域づくり」「仕事」「生き方」をメインテーマに語り合い交流するプラットフォームで、毎回、若手組合員スタッフが魅力ある企画を案内します。
次回は年1回のまちづくり先進事例の現地視察を行う予定ですのでぜひご参加ください。