堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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岩手・大槌の風 第9風

大槌町役場の惨劇㊥(8月31日付)

※今回は厳しい表現を幾つか含んでいますが、ご容赦ください。

〈H氏の話の続き〉

 「しかし実際に津波が来た。海側から土埃を巻き上げて役場に向かって来た。危険を感じて建物に入り、2階に上がり、更に屋上にまで登った。私は屋上の手摺に必死に掴まった。まず津波によって下から上に押し込まれ、その後引き波で上から水が戻ってきた。中には瓦礫だけでなく、部下も流れてきた。ほんの1メートルくらい前を部下が流れて行く。しかし何もすることができない。何もできずに部下の体が流れて行く。後から気付いたが、その時何の感情も湧かなかった。悲しいとか、辛いとか、そんな感情自体が起こらず、ただただ呆然とそこにいるのみだった」。

 別の記事で読んだ話ですが、屋上で生き残った方々は当時町役場屋上に掛かっていた垂れ幕を流れてくる人に向けて投げたりし、必死で救おうとしたそうですが、反応なく流されたそうです。屋上まで登り切れずに多くの職員が死亡・行方不明になり、とりわけ町の道路や下水道を管轄する、堺市で言えば建設局や下水道部に当たる課の職員は半分以上が死亡しました。

 当時、大槌町長だったのは加藤宏暉氏。同氏も津波襲来時に町役場にいながら波にさらわれ、発災後数日間行方不明となっていましたが、8日後に町役場から約500メートル離れた地点で遺体で発見されました。

 一般行政部門の課長級職員は大多数の7人が死亡。生き残った幹部は副町長とほんの数人のみだったそうです。