安倍政権は、保育の質を確保した
施設整備、処遇改善に本腰を(2月28日付)
認可保育園に落ちた子どもの数が各地で前年を上回るなか、保護者や保育士ら約200人が参院議員会館に集まり、声を上げました。「保育所ふやして! 保育士ふやして! 安心・安全な保育は国の責任で 国会大行動」(よりよい保育を!実行委員会主催)と「保育園!!!私たち声を上げます!2017」アクションです。
今年も保育園落ちた
今年4月に認可保育所に入所する人の選考結果が各地で通知されています。首都圏22の自治体では、申込者8万5282人に対して、入園が内定した児童は5万6746人。内定率は66パーセントで、実に3人に1人が「保育園に落ちた」(JNN2月23日)との報道もあり、多くの自治体で、保育所に入れない子どもの数が前年を上回り、安倍政権が掲げた待機児童「ゼロ」目標とは程遠い実態が広がっています。
「保育園落ちたの私だ」と国会前で保護者らが待機児童問題の解決を訴えてから、約1年。安倍首相は「待機児童ゼロを必ず実現する決意だ」(16年3月11日参院本会議)と述べていました。
整備は不十分
17年度予算案では、「待機児童解消加速化プラン」に基づく受け皿拡大として4・6万人分が計上されました。市町村の整備計画を積み上げたものだとしていますが、大問題になっている待機児童にカウントされない「隠れ待機児童」(6万7千人、16年4月現在)への対応策はありません。
厚労省は、昨年9月から待機児童の定義見直しを議論。各自治体で扱いが異なる、育休中▽特定の保育園のみ希望▽求職活動を休止―のケースについて検討していますが、認可保育所に入れない子どもはすべて待機児として数える2000年以前の定義に戻す考えはありません。数を少なく見せるために待機児から除外できるケースを増やしてきた国の責任が問われています。
認可保育所の整備が不十分な一方で国が進めてきたのが、規制緩和による詰め込みです。
昨年3月の緊急対策では、定員19人までの小規模保育で21人までの受け入れを認めました。認可保育所より基準が低い「企業主導型保育」を創設し、認可保育所並みの補助金をつけて、2年間で5万人分を計画。17年度予算案では513億円増の1313億円を計上しています。
待機児対策として育休を2年まで延長できる雇用保険法改定案を提出していますが、「保育所整備がまず先だ」との声が上がっています。
実効性に疑問
17年度からは、育休後の入所枠を予約できる制度を始めます。しかし、受け皿が抜本的に不足するなか確実に入所できる保障はなく、実効性に疑問の声が出ています。
待機児対策にとって欠かせない保育士の処遇改善は、17年度予算案で月約6000円にとどまり、全産業平均から10万円も低い賃金改善には程遠く、「安心して働き続けるために、すべての職員に月5万円の引き上げが必要だ」(全国民間保育園経営研究懇話会)との声が上がっています。
安倍政権が行ってきた「対策」は、規制緩和を中心とした既存の施設への詰め込みでしたが、行き詰まっていることは明らかです。
改善をの声をあげよう
「大行動」では国会議員や厚生労働省への要請を実施。院内集会で、国の責任で認可保育園を整備し、保育士の賃金、配置基準などを改善するよう求める180万人超の署名を国会議員に手渡しました。
堺市職労も連帯して取組みをすすめます。