沖縄高江での機動隊員暴言問題(10月25日付)
沖縄県東村高江のヘリパッド移設工事現場での機動隊員による暴言問題を考える時、沖縄の歴史を学ぶことが重要です。戦争の傷跡、基地との「共存」、そして平和を求める今の県民の姿があります。
第2次世界大戦終了間際の1945年3月、米軍を中心とする連合軍は上陸・地上戦を沖縄に仕掛けてきました。
3か月以上に及ぶ激しい戦闘行為で、当時の県の人口の3分の1にあたる約20万人(その半分が民間人)が犠牲になったと言われています。
銃剣を押し付け住民を追い出し、あるいは濠(ガマ)に避難している間に、ブルドーザーで畑をつぶし、火炎放射器で家を焼き払って、県民の土地を強奪し、そこに米軍基地を建設したのです。
戦後の沖縄は、故郷を奪われた怒り、米兵による犯罪への恐怖の一方で、米軍基地を置くことで「振興費」「補助金」という利権が動くもと、基地反対派と賛成派に分断されました。
1996年、米兵による少女暴行事件をきっかけに、保守も革新も立場を超えた歴史的な9万人の県民集会が開かれ「米軍基地を県外移設せよ」の世論が形成されていきました。
米軍基地反対派の翁長雄志知事が誕生し、2014年の総選挙でどこよりも早く野党共闘を実現し、4つすべての小選挙区で自民党議員はいなくなりました。16参議院選挙でも野党統一候補の伊波洋一さんが勝利しました。
沖縄県民の民意は、「米軍基地はいらない」「米兵による犯罪ノー」であることは歴史的事実からも直近の選挙結果からも明白です。
問題となっているヘリパッドの工事は、いったん中止していたものが16参議院選挙の翌日から再開されました。野党統一候補が勝ったにもかかわらず、話し合うこともなく強行したのです。住民が怒るのは当然です。
機動隊員の土人発言について沖縄県の翁長知事は「未開の地域住民を侮辱する意味を含み、一県民としても、県知事としても言語道断で到底許されるものではなく、強い憤りを感じている」と批判してました。
19日大阪府の松井知事は、「機動隊員はちゃんと仕事をしてる」「出張ご苦労様」とツイッターでつぶやき「人の上に立つ者としての責任感が全く感じられない」「大阪府警を所轄する立場の知事が、機動隊員が暴言を吐く動画を確認した上でかばい、ねぎらったことになる」と批判の声があがりました。20日の記者会見では「もともと混乱地で、無用な衝突を避けるために、警察官が全国から動員されている。じゃあ、混乱を引き起こしているのはどちらなんですか」などと強弁しました。
松井知事の発言から、沖縄の歴史への不見識と県民への敵対心、維新は改革者などと言いながら、実際には安倍政権にすり寄りを補完する姿勢が見えます。
米軍基地反対の県民のたたかいに連帯し、安倍暴走政治を包囲する世論を広げましょう。松井知事の発言に抗議し、撤回と県民への謝罪を求めましょう。