人事委員会あて連名要請書1510筆提出(10月3日付)
堺市人事委員会勧告(9月30日)について、執行部は以下の見解を発表しました(勧告概要は裏面)。
堺市人事委員会は、9月30日、市長と市議会議長に対して給与等に関する報告及び勧告を行いました。
月例給据置き、一時金増、扶養手当見直し
その内容は、①月例給については、職員給与が民間給与を215円(0・05%)下回っているが、較差が小さいことから、改定を行わない。②特別給については、職員の年間支給月数(4・20月分)が、民間の支給割合(4・28月分)を下回っているため、0・1月分引上げ改定(勤勉手当に配分)。③人事院勧告に準じた扶養手当の見直し。実施時期は、②は平成28年12月から、③は平成29年4月からとしています。
同時に「報告」で、国において実施されている55歳を超える職員の昇給抑制措置等、高齢層職員の昇給・昇格制度について、「本市においても、均衡の原則に基づき、国と同様の措置を講ずることが必要である」として、「具体的な制度設計を行うとともに、導入時期について検討を進められたい」としています。
改善には不十分
今年の勧告は、職員給与が民間給与を下回っているものの、“較差が小さい”として4年ぶりに月例給の引上げが勧告されませんでした。一方、特別給(一時金)が現行の4・20月分から4・30月分へ引上げ勧告されたため、勧告どおりに給与改定が実施された場合の平均給与は年間で38,000円の引上げとはなりますが、物価上昇に満たず、堺市職員の生活改善、地域経済の活性化には到底結びつかない不十分な内容と言わざるを得ません。
また、非正規職員の勤務労働条件についても、「多様な任用形態の職員について、職務内容、職責等も考慮した上で、引き続き適正な勤務条件が整えられるよう要望する」と述べるにとどまっており、正規職員との格差是正、均等待遇実現という点で不十分と言わざるを得ません。
扶養手当見直し「均衡」=「国準拠」ではない
とりわけ扶養手当については、「本市においても、均衡の原則に基づき、人事院勧告に準じた扶養手当の見直しを行うことが適当である」として、配偶者に係る手当額を段階的に半減(13,000円→6,500円)し、その原資を用いて子に係る手当額を増額(6,500円→10,000円)するとした人事院勧告に準じた見直しを勧告しました。
地方公務員法第24条第2項は「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」としており、『均衡の原則』=『国準拠』ではありません。実際、今年の各政令市における人事委員会勧告(9月29日時点)でも、福岡市、京都市、神戸市、広島市、北九州市、大阪市、静岡市、岡山市などで国に準じた扶養手当の見直し勧告が見送られています。
「配偶者のみ」の世帯だけでなく「配偶者と子ども1人」の世帯でも扶養手当額が減ってしまうことや、2014年に安倍首相から見直しを検討するよう人事院が要請をうけ、ごく一部の民間企業における見直しを根拠に行ったものであることから、私たちが堺市人事委員会に提出した連名要請書では「扶養手当について、少子化対策の観点にたって、支給範囲及び支給額を改善するように勧告すること。なお、子に係る手当額に伴う、配偶者等の手当額の引下げは行わないこと」と求めていました。こうしたもとで、堺市人事委員会が『均衡の原則』=『国準拠』を根拠に扶養手当の見直しを勧告したことは、「労働基本権制約の代償措置」、「公正・中立な第三者機関」としての人事委員会の役割を放棄するものであり厳しく抗議するものです。
引き続き改善求めよう
私たちは、住民の安全・安心をはじめとする公務サービスを維持し、公務の公平性、中立性、安定性、継続性、専門性を確保するため、非正規職員も含め堺市及び関連職場で働く職員全体の生活改善につながる勧告を求めて、人事委員会あて職場連名要請書1,510筆を積み上げ、多くの組合員・職員の切実な実態を届けてきましたが、今回の報告及び勧告は、こうした私たちの要求から大きくかい離したものと言わざるを得ません。
堺市職労は、堺市人事委員会が国・総務省の圧力に屈せず労働基本権制約の代償措置としての本来の役割を果たすことを求めるとともに、堺市当局に対してもこの間の労使経過を踏まえ堺市に働くすべての職員の生活改善、住民の命と暮らしを守る自治体運営を求めて全力でたたかいます。
2016年9月30日
本部執行委員会