堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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考えよう、こころの健康 ②

なぜメンタルヘルスか 下(6月2日付)

神奈川・うしおだ診療所 精神科医師  野末 浩之

 前回(5月30日付け掲載)は、情報通信業や金融・保険業に従事する方たちに、こころの不調が多発しているとの調査結果を紹介しました。別の角度からこころの不調について考察したデータがあります。(「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」独立行政法人労働政策研究・研修機構

 これは、2014年に全国の男女8000人に行った個人調査です。就業者のメンタルヘルス不調経験を週実労働時間別に調べて、次のように報告しています。

 「メンタルヘルス不調の発生に深くかかわっているとされているのが、労働時間だ。そこで、1週間の総労働時間との関係をみると、『90時間以上』で不調を感じた割合が37・5%と最も高く、次いで『70~79時間』で30・4%など、長時間労働をしている人で、全体(25・8%)の割合を大幅に上回っている」

 法定労働時間である週40時間の2倍近くからそれ以上働いていると、誰もがこころの不調を経験する危険性が高まることが、この調査からも明らかです。

 働くものの職場環境を改善してゆくことが、私たちのこころの健康状態を向上させてゆくために重要な課題となっています。

 長時間労働だけでなく、パワーハラスメントなどの労働者いじめも、こころの不調に大きく影響しています。そして、企業が労働者のこころの健康について「個人の性格の問題」などと誤った対応をせず、職場をあげて改善を目指してゆくことがとても大切です。

 次回は15年に本格実施となったストレスチェック制度について紹介します。

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 1週間の総労働時間70時間というのは、平日だけで毎日平均6時間(堺市の場合午前0時近くまで)の時間外勤務ということになります。堺市では、時間外勤務が年間360時間超の職員数が27年度393名で、720時間(月平均60時間)超は42名となっています。月45時間を超えるほど健康障害のリスクが徐々に高まるとされており、先のような危険な働き方の実態を明らかにさせたうえで、その解消を求めていきます。